桜が咲き誇る京都が精緻な夢の世界ならば、紅葉が散り敷く京都は静かな思索の季節である。桜がもたらす喜びや楽しさとは異なり、色とりどりの紅葉は千年の古都への想いを引き出してくれる。日本語では「紅葉狩り」と言うが、「狩り」という言葉を使うのは、秋の最もすばらしい紅葉の季節は非常に短いので、四季の移り変わりに気を配って大自然の美を逃さず捉えるようにという意味なのかもしれない。中国語の「紅葉」が赤く色づいた葉だけを指すのに対して、日本語の「紅葉」は秋になって色を変えるすべての植物に使うことができる。そのため、カエデもイチョウもツタもすべてが日本では紅葉に入る。
イチョウと言えば、西本願寺である。日本全国にある本願寺の総本山として、京都の西本願寺は世界文化遺産として有名なだけでなく、イチョウ鑑賞の名所でもある。西本願寺の境内には多くのイチョウが植えられ、中でも正門のところにある最大の木は400年以上の樹齢を数え、樹冠が巨大な屋根のように空に向かって広がっている。秋になると、西本願寺のあちこちで金色の枝が風に揺れ、巨大なイチョウはまるで一枚一枚の葉が黄金で鋳造されたかのようで、400年の風雨と知恵を身にまとうようにして、陽光の下で圧倒的な貫録を見せて本殿の前にそびえ立っている。
西本願寺の厳粛な気分と異なり、南禅寺は自然で平和な雰囲気をたたえている。南禅寺の境内は木々がうっそうとし、カエデが中心である。晩秋の寒風の中、ところどころに緑の葉が混ざったカエデの林があたり一面に広がっており、色彩は調和があると同時に鮮やかで、赤を基調とする精緻な錦織のようである。南禅寺の秋の景色を見た人ならば、秋をテーマとした京都の高級な友禅刺繍は決して日本人の想像力ではなく、彼らがすでに千年にわたって持ち続けてきた真実の景色の心と姿であることに気づくだろう。
京都にたくさんある古刹の中で最も有名なのは、おそらく清水寺だろう。中国の日本語テキスト「標準日本語」でも清水寺を取り上げているので、清水寺は中国の多くの人々にとって日本の寺のシンボルとなっている。清水寺は奈良時代に建てられた。京都中部の羽音山にあり、面積はたいへん広く、山全体に広がっている。太陽の下の端正な美しさや厳かさもすばらしいが、紅葉の季節になると、夜には本堂と紅葉がライトアップされる。三重塔全体を明るく照らすサーチライトやカエデにかけられた小さな和風の灯りなど、異なる明るさと色彩を持った灯りが清水寺を夢のような世界にしており、古い日本の幻想美に満ちあふれている。紅葉が照り映える本堂や塔は、長い歴史が蓄積してきた、哲学や大自然の根本に通じる禅的な趣を無言で伝えている。目を閉じると、千年の月日を超えて、優雅な王朝の時代に戻っていくような気がする。(李薊執筆、撮影)