2012年10月12日 第39号(通巻第333号)

さらに進化した腕時計

1969年、セイコーは石英の水晶振動周波数を利用して、クォーツ時計という新型の腕時計を開発した。それ以来、腕時計は毎日ぜんまいを巻いて時間を合わせる必要がなくなり、真に実用的で便利な時計となったのである。それから40年が過ぎ、腕時計の機能はますます豊富になり、使用するのがたいへん便利になった。例えば、ソーラー発電技術の応用で電池の消耗という問題が解消され、耐圧強化ガラスを初めとする、防水、耐熱、耐圧技術の応用で、腕時計は人間が生存するほとんどの環境で安心して使用できるようになった。だが技術が進んでも、根本的に解決されない本質的な問題が残された。

その問題とは、時計の正確さである。以前は、最高級のムーブメントを使用した時計であっても、一日の間に一秒以下のわずかな誤差が生じていた。1990年代に電波受信技術が普及し、この難題が解決されたかに思われたが、ここでさらに新たな問題が生まれた。それは、電波送信所の数が限られていて、受信範囲を超えてしまうと時間を調節できないという問題である。さらに電波受信にはもう一つの問題がある。例えば東アジアでは、北海道と九州と、中国の河南省商丘の三ヶ所に送信所があるが、中国東南部の沿海地区の一部では河南からの信号が受信できず、九州からの電波を受信してしまうので、時計が常に日本時間を表示することになってしまうのだ。腕時計の正確さを完璧にすることは、この分野に従事するすべての人々が取り組む共通の夢であった。

そしてこの歴史的難題を最終的に解決したのは、やはりセイコーだった。今年3月、セイコーウオッチは、「セイコー アストロン」という新しい腕時計を発表した。この商品は、従来の太陽電池やチタン合金ケースを備える以外に、画期的な新技術を備えている。セイコーの技術者は、GPS(全地球測位システム)の電力消費が高いという弱点を克服して、太陽電池で駆動できるGPSモジュールを開発したのである。アストロンは衛星から直接時間情報を受信して、世界のどこにいても一秒まで正確な時間を得ることができ、ついでにカレンダー表示が狂うという問題も解消した。アストロンは、すでに9月に発売され、今年のグッドデザイン賞を受賞した。外観デザインも非常にシックな完全進化型のこの腕時計の定価は19万9500円である。(凱特執筆)

(C)2012 SEIKO WATCH CORPORATION

セイコー アストロン プレスリリース  http://www.seiko-watch.co.jp/whatsnew/pressrelease/20121001/

秘境駅ランキング

日本はさほど面積が大きくない島国だが、非常に豊富な自然資源を擁している。景色がよく、温泉の泉質も高いのに、交通の便が悪いなどの理由で開発が進まず、あまり人に知られていない温泉は「秘湯」と呼ばれる。天然の温泉が山や谷の奥に隠されているのは珍しくないが、一定の数の利用者があるから建設されるはずの駅にも「秘境駅」があるという。これは実に不思議なことだと思う。付近に集落もなく、車で行くのもたいへん不便な駅は、「秘境駅」と呼ばれ、人々はこうした秘境に大きな興味を寄せる。日本の秘境駅について知るために、「一度は行ってみたい秘境駅ランキング」の上位三駅を見てみよう。

第一位:竜飛海底(たっぴかいてい)駅。名前を聞いただけで普通ではない感じがする、北海道の海峡線のこの駅は、緊急時に旅客を避難させたり、点検修理時に必要な器材を置いたりするために作られた。青函トンネルの海底部分にあるこの駅は、一般の駅よりホームがずっと狭く、普通の旅客は使用できない。見学整理券を持った人だけが下車できる。

第二位:抜海(ばっかい)駅。稚内市にある、JR北海道の宗谷本線の駅であり、日本最北端の無人駅である。駅は、開業当初の木造建築がそのまま保持されている。冬は激しい暴風雪に襲われるため、駅舎は厳重な覆いで囲まれている。駅前には1、2軒の民家があるが、店はない。その外は、一面の牧草地である。

第三位:千代(ちよ)駅:長野県飯田市にある、JR東海の飯田線の駅である。この無人駅には駅舎がなく、ホームに待合所があるだけだ。2003年から2009年にこの駅を利用した乗客は、各年10人未満であった。ホームから、天竜川の美しい景色が眺められる。

秘境駅とされるところは、駅も線路も廃止の危機に直面しており、こうした興味深い秘境駅は、チャンスがあれば是非訪ねてみる価値があると思う。だが、年間の利用者が数えるほどである秘境駅では、当然毎日走る列車数もたいへん少ない。下車したら、数時間待たないと次の列車が来ないので、待っている間はどうしたらいいだろう?周囲を歩き回ってもいいかもしれない。下車した後、列車が発車するのを見送る時は、ちょっとさびしい気持ちになるに違いない。(絵梨執筆)

秘境駅へ行こう! http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/

文房具カフェ

最近、東京の表参道にある「文房具カフェ」が話題になっている。6月15日に開店し、わずか12日間で会員数が200名を突破した。地下の店舗に通じる階段を降りると、まず入り口にはクーピーペンシル、アラビックヤマト、ジャポニカ学習帳などが並んでいるのが目に入る。これらは日本では「古典的な学習用品」とされていて、独自の地位を保っている。お客さんの多くは女性だが、50〜60代の夫婦や、20代の若者も来る。のんびりと飲食をしながら、漫画をめくったりもできるし、ノートパソコンを開いて仕事をしているビジネスマンも見られる。飲食席は60席あり、机といすのサイズは、日本で美しいとされる白銀比(1:√2)で設計され、長時間読んだり書いたりする人のために、机の下の引出しは薄めにして、足が当たらないようになっている。

店内の壁には、和紙のような特殊加工が施され、気持ちが落ち着く効果があるという。奥の壁は一面がホワイトボードになっているので、そのことを知らないお客さんは、店員がそこにいきなり文字を書くのを見てびっくりするに違いない。この壁はプロジェクターのスクリーンとしても、講習会などの白板としても使え、今後は意見交流会やワークショップの開催も検討中だそうだ。

文房具カフェなので、もちろん重点が置かれているのはたくさんの文房具である。懐かしさを感じるレトロな文具から、珍しいコンセプト商品まで、ここでは何でも探すことができる。いちばん人気があるのは、草をかたどった付箋(本にたくさんつけると草むらのようになる)、人類の進化を表現した消しゴム(表は人間、裏は猿)、精巧な切り絵が施されたカードなどで、よく探してみると個性的な商品をいろいろ見つけることができる。この他、直径2oの芯で鉛筆のような書き心地のシャープペンシルなど、同店のオリジナルロゴ入り商品もあり、生活の細部を重視したいという人には、様々な文具の楽しみを与えてくれる。文房具コーナーだけでなく、文房具関連の書籍をそろえた棚もあり、お客さんは自由に読むことができる。

文房具カフェには会員サービスがあり、会員登録をすると10%の優待を受けられる上に、専用の鍵をもらえ、施錠された引出しの中のノートやペンなどを自由に使うことができる。引出しの中には「定規を書いて下さい」など、「お題」が書いてあるノートが入っている。利用者が書いた内容は、その後その席に坐った人が見ることができるので、ちょっとすてきな交流が生まれたりもする。このカフェを経営する会社は、もともと紙製品や文房具の卸業者で、カフェを開いた目的は、文房具の可能性を無限に拡大し、新しいものを創り出したかったからだそうだ。日本のファッションの聖地である表参道から、文具文化を世界に伝えることこそ、この文房具カフェの信念と言えるかもかもしれない。(Michelle執筆)

(C)有限会社 東光ブロズ

文房具カフェ http://www.bun-cafe.com/

富士登山のすすめ

昔から、高い場所は寒くて孤独だと言われる。科学的な面から言ってもこれは正しく、一般に海抜が高くなれば気温も低くなる。そのため、残暑が厳しく平地の温度が30度もある9月中旬に、海抜3776メートルの富士山には初雪が降り、美しくて優雅なことで古来有名なこの山に白いベールがかけられるのだ。

夏は、富士山が開山する唯一の季節である。開山とは、登山が許可されるということである。遠くから眺める富士山と、登山しながら山の中で見る富士山はまったく違う。富士五湖付近から湖を隔てて眺めると、富士山は雲や霧をまとい、青空と青い湖水の間に稜線が優雅に隆起して延びており、まるで和服のすそが大地に広がっているようで、落ち着いて威厳があり、非常に美しい。登り始めると、一合目から五合目までは木々がうっそうとした森林で、足元は生態環境を守るために昔のままを保持した歩きにくい山道になっている。五合目から山頂の剣ガ峰までは火山岩でできた荒涼とした山道で登りにくいし、標高が上がるにつれて酸素が希薄になるので、体力がもたずに高山病になる人も少なくない。そのため日本では、「富士山は遠くから眺める存在で、登る山ではない」とよく言われている。だが、古典文学に繰り返し登場する山として、富士山は昔から日本の精神の象徴の一つであり、日本人の心の中の聖地である。毎年山開きの季節になると、たくさんの人が登山のために訪れ、年齢層も黄色い帽子をかぶった小学生から白髪のお年寄りまでさまざまだ。日本人にとっては、頂上まで行っても行かなくても、富士山に登ることによって大きな精神力と勇気を与えられるのかもしれない。

登山は苦しいが、特別な風景を見ることができる。五合目までしか登らなくても、下を見ると目の前に雲が広がり、遠くの湖や田畑や野原、さらには町が、まるで細かく精巧に描かれた絵のようになって霧の間に見え隠れする。森林の中は日の光がさえぎられ、あちこちに名前も知らない野草や野の花や、野生のきのこや果実が見られる。小鳥の澄みきった可愛らしい鳴き声が聞こえるが、木々の葉に隠れて姿は見えない。時々虫の声がするが、近寄ると鳴きやんでしまう。これらは都会では味わえない風情で、山に行ってこそ呼吸できる自然の息吹である。富士山は自然のおもかげを非常によく保っているので、五合目までの登山を選ぶ人や、バスで五合目まで行って徒歩で下山する観光客も多い。

日本を観光するなら、一度は富士山を見るべきである。富士山は高くても傾斜は緩やかで、優雅で端正な美しさがあり、まるで見聞が豊かで心がしっかりした、優しく明るい女性のようである。富士山のふもとまで行ってその美しさを見た後、たとえ途中までであっても登ってみれば、富士山の持つ力と強さが感じられ、日本文化や日本の精神に対する理解がきっとさらに深まるに違いない。(李薊執筆、撮影)

富士山ナビ2012 http://fujisan.yamakei.co.jp/

重量級のちゃんこ鍋

だんだん寒くなり、あつあつの食べ物が恋しい季節になりました。秋冬に最も食べたい食事と言えば、もちろん鍋ものですね。日本の鍋ものは地方によって異なり、食べ方や味もかなり違っています。例えば九州のもつ鍋、さっぱりしたしゃぶしゃぶ、湯豆腐鍋、福岡県の鶏の水炊き、東北の秋田県のきりたんぽ鍋、おでんなどがあり、中でも私がいちばん好きなのは、相撲の鍋である「ちゃんこ鍋」です。

相撲の鍋と言うと、聞いただけですごそうですね(笑)。このちゃんこ鍋は本来、主に相撲の力士やプロレスラーが食べる鍋料理です。こうした重量級のスポーツマンたちに栄養をつけさせて、試合で戦う気力を与えるために、ちゃんこ鍋の材料は種類も豊富で分量もたっぷりあります。本来「ちゃんこ」という言葉は、力士たちが食べるすべての食べ物を指しており、鍋以外の食べ物も「ちゃんこ」でした。でも鍋料理はおなかいっぱいになるし、作るのも便利なので、力士の食べ物は鍋が中心になっています。そのため、ちゃんこ鍋が一般に有名になりました。さて、ちゃんこ鍋は誰が作るのでしょうか?交代で料理を担当するのは、主に幕下以下の力士です。プロレスラーの団体では、若い選手や練習生が道場で作ります。

大相撲が開催される国技館がある両国駅一帯は、ちゃんこ鍋店の大本営です。現在、大相撲を引退した関取や、関取まで上がれずに引退した力士たちが経営する本場のちゃんこ鍋店が、一般の人のちゃんこ鍋を味わいたいという願いを大いに満足させています。

さて、このちゃんこ鍋はどこがおいしいのか、簡単にご説明しましょう。まずスープです。基本的に、味噌味と醤油味の二つに分けられますが、最近は塩味やキムチ味のものもあります。スープの味は、かなり薄味です。具については、力士やレスラーがタンパク質をたくさん摂れるように、肉類は魚や鶏肉が中心となっており、さらに大量の青菜や肉団子、きのこ、豆腐などが入ります。一般のちゃんこ鍋店で出される鍋には、この他、キャベツ、白菜、うどんなどが加わり、満腹感を増しています。これらの鍋はおいしくてさっぱりしており、すべての食材が身体にいいので、栄養摂取のバランスが悪い現代人には非常に適しています。

実は、いつもちゃんこ鍋を食べると、私は途中でおなかがいっぱいになってしまって、最後に店員に、うどんで締めますか?卵を入れておじやにしますか?と聞かれる頃には、ほとんど白旗上げて降参状態になります。ちゃんこ鍋は、やっぱり分量が多いんですね。そろそろ秋風が立って、涼しくなってきましたね。友達と数人で連れ立ってちゃんこ鍋を食べに行き、身体に栄養を補い、寒気を追い出しましょう。(哈日杏子執筆、撮影)

ちゃんこ巴潟 http://www.tomoegata.com/  哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/ (中、日)

第39回 上野恩賜公園

【上野恩賜公園】日本最初の公園で、最大の公園でもある。元は徳川将軍家の墓所や諸侯の私邸があったが、1873年に公園となり、「史跡と文化財の宝庫」と呼ばれる。寛永寺、徳川家霊廟、東照宮、清水堂、西郷隆盛の銅像などがあり、江戸時代と明治時代の建築が木々の間に点在しており、山と水を共に備えて美しい。西郷隆盛の銅像は、特に日本人の尊敬を集めている。

【パンダと花見】日本初の動物園が、1882年に誕生した。日中国交正常化の時、中国が初めてパンダを贈り、それ以来動物園のシンボルとなっている。不忍池の水面の水鳥や、水族館の600種の水生動物の他、動物園内には300種あまりの動物がいて、人気を集めている。1300本あまりの桜の木があって、花見の季節には全国から最も多くの人が集まる花見の名所でもある。「ソメイヨシノ」は、ここで発見されて有名になった。

【美術館と博物館】上野には、多くの美術館や博物館、さらにコンサートホールがある。東京国立博物館(84点の国宝を収蔵)、東京文化会館(ホール)、国立科学博物館、国立西洋美術館(ロダン、モネ、ピカソ、ルーベンスなどの名作がある)、東京都美術館(さまざまな企画展を行う)、下町風俗資料館、上野の森美術館などがあり、「文化の森」と呼ばれている。(姚遠撮影、執筆)

タイトル:「シンボル」
場所:上野動物園正門入口
撮影のポイント:正門売店の「パンダの母子のぬいぐるみ」の棚。しゃがんで撮影した。パンダが画面の三分の二を占めているが、イメージをぼかし、焦点は動物園の名前に当てている。
使用フィルタ:Lofi+彩度(遠くの赤い園名と緑の木々を際立たせる。フレームの装飾効果。)
タイトル:「トレイ」
場所:上野公園不忍池
撮影のポイント:正午に太陽が真上に来た時の直射光を利用して、下から蓮の葉脈と大樹のまだらな影を撮影した。緑の蓮の葉が画面の中心で、周囲の植物が立体感を出している。
使用フィルタ:Nashville+彩度+周囲のぼかし(緑色を一層鮮やかにする。フレームの装飾効果。)

タイトル:「奉納」
場所:上野公園穴稲荷
撮影のポイント:撮影位置がやや高めであるのを利用して、まるで木製の鳥居の上から衆生を俯瞰しているような場面を創り出している。画面の構図を決めたら、通行人が通るのを待ち、たくさん撮影した後で一枚を選んだ。
使用フィルタ:Kelvin+彩度−フレーム(木製の鳥居の赤を強調する。フレームを除去して、情報を増加する。)
タイトル:「父と子」
場所:上野動物園側門附近
撮影のポイント:温かい雰囲気に満ちた瞬間を隠し撮りした。携帯を低く持って、逆光によって父子の髪の質感を強調し、公園のベンチが光線の自然のレフ板になって、顔の細部が生き生きと描かれる。
使用フィルタ:Sutro+彩度+圏外のぼかし(映画の画面のような雰囲気を出す。フレームの装飾効果。)

上野恩賜公園  http://www.kensetsu.metro.tokyo.jp/toubuk/ueno/index_top.html

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