おにいちゃんCDが大人気
常に新たな文化を生み出す秋葉原で、先日は「おにいちゃん、おはよう!」という妹の声で起こしてくれるモーニングコールサービスが話題を呼んだが、今回また新しい「妹萌え」CDが大人気になっている。その名は「おにいちゃんCD」である。
「おにいちゃんCD」は、白雪みるくのようなアニメ声優が甘えた声で「おにいちゃん」と何度も呼んでくれるというだけのものだ。だが、この「おにいちゃん」の量が尋常ではない。何と12人の声優のそれぞれ100パターン、計1200パターンもの「おにいちゃん」が収録されている。そのパターンも、「甘える」だけでなく「すごく恥ずかしい」など様々な情況に設定されていて、中には「腕相撲をしながら」、「人食い人種に遭遇」などという奇想天外なシチュエーションもある。こうした様々な「おにいちゃん」という呼びかけが50分以上続く。まったく前代未聞のCDである。
もともとこのCDは、「声優におにいちゃんと言わせてみたい」という単純なオタク心理から生まれたアイデアによるもので、オタクの中でも「妹系」にターゲットを絞った商品だったが、発売後一週間で1000枚も売れ、その後毎月の販売量は約2000枚、現在も売れ続けている。「おにいちゃんCD」の値段は一枚1200円だから、「おにいちゃん」一声で1円ということになる。リーズナブルな価格ゆえに、よく売れているのだろう。
「トイレの前で」や「100m走の直後」などの息切れしている「おにいちゃん」を聞くと、妹系オタクでなくても大笑いしてしまうに違いない。だが、何度も繰り返し聞いているとだんだん気持ちがふわふわとしてくる。どうやら聞けば聞くほど心が病んでくるCDのようだ。
ところで、「おにいちゃん」という呼びかけを携帯の着信音に設定するのはいい考えだが、静かな地下鉄や電車の車内に突然甘ったるい「おにいちゃん」が響いたら、その悲惨な結果について責任は負えませんよ(笑)。(本文は雑誌「R25」の文章をリライトした) |