阪神・淡路大震災の教訓を学ぶ施設
【コラム編集:飾磨亜紀】1995年1月17日に発生し、多くの被害をもたらした阪神・淡路大震災。当時の経験や教訓などを体験・展示する施設が、神戸市にある人と防災未来センター「防災未来館」だ。震災の記憶を次世代に伝え、あらゆる自然災害の情報を広く発信している。2003年のオープン以来、来場者数は300万人を超え、海外からの来場も増えている。
防災未来館では、まず、地震発生時にビルや高速道路などが破壊されていく様子を映像と音響で再現したシアターに圧倒される。そして、被災した街並みの実物大ジオラマを歩いた後、大震災ホールで、姉を亡くしたある少女の手記をもとに街が復興していく様子を描いたドキュメンタリードラマを見る。大地震のすさまじさ、恐ろしさ、悲惨さを強く訴えかけ、改めて震災を考えさせられるコーナーだ。
次のフロアでは、発生直後から復興までの被災者の生活、街などを写真や模型などでわかりやすく解説している。長期にわたった避難所生活でありがたかった救援物資やボランティア、被災地で活躍したバケツ、原付バイクなどを展示。また、震災で経験したさまざまな知識を住まい、しごと、まちづくりなどに分け、一覧表でまとめられている。例えば、地震初動期では心身の健康確保や避難所での心得、応急・復興期では被災者の生活再構築、ライフライン・交通インフラ等の早期復旧など、今後、同規模の大地震が起きた場合などに生かせるようになっている。
そして、「語り部」ボランティアによる体験談はぜひ聞いてもらいたい。水や食料の確保、地域でのつながりの大切さなど、市民の視点に立った教訓の数々は、将来、私たちが生きる上で避けられない自然災害の「減災」への心がけにもつながる。さらに、非常用持ち出しチェックリストや防災マップの作成など、実験やゲームを通じて災害・防災の実践的な知識をわかりやすく学習するコーナーもあり、約16万点にも及ぶぼう大な資料の一部も閲覧できる。
なお、大震災ホールでは英語・中国語・韓国語に対応した翻訳機があり、展示フロアの一部で英語・中国語・韓国語が併記されている。英語・中国語・韓国語・スペイン語の通訳ボランティアも対応可能。いずれも希望する場合、事前に必ず予約窓口にお問い合わせを。 |