未来型のカプセルホテル
2009年12月、京都を皮切りに、斬新で興味深いカプセルホテルが日本に誕生する。その名は「9h」(ナインアワーズ)。
8月19日から21日まで、東京の六本木にある「AXISギャラリー」で、「9h」の実物が初めて公開されることになり、話題を集めている。「9h」というSFのような名前を聞いて、一体どういう意味だろうと思われるかもしれない。だが、たとえカプセルホテルを見たことがあっても、どんなものか想像もつかないという人は少なくないに違いない。さてまず、「9h」のデザインコンセプトから見てみよう。
例えば出張でホテルに泊まる場合、シャワー、睡眠、身支度、そして出発と、ホテルで過ごす時間は意外に短いものだ。「9h」では、7時間の睡眠の前後に1時間をプラスして、計9時間の滞在と考える。宿泊するというよりも、「明日のためのリセット」という感覚に近い。カプセルホテル「9h」ではホテルのさまざまな要素を合理的にまとめ、時間を原点として、高品質を備えた宿泊機能を見直した。
著名なデザイナーである柴田文江氏をクリエイティブディレクターに迎え、東京駅近くにある丸の内オアゾ内の「MARUZEN」のデザインでとても高い評価を得た廣村正彰氏と中村隆秋氏がコラボレーションしている。3人の才能にあふれたデザイナーの発想がぶつかり合うことによって、この稀有な空間に開く夢の花が生まれたのだ。人間の3つの行動=1h(汗を洗い流す)+7h(眠る)+1h(身支度をする)を時間に置き換え、このコンセプトを基に、宿泊の機能と滞在の価値を、巧みに作られた空間に溶け込ませたのだ。
「9h」は会員制によってセキュリティを確保し、24時間フリーチェックイン・チェックアウトとなっている。通常のカプセルホテルには欠かせない浴室とサウナをなくして、シャワー付きの個室を配備し、男性も女性も自由で快適な時間を過ごすことができる。インテリアにも各種機能が合理的に配置されており、パナソニック電工の寝室環境システムなどが使用されている。部屋数は125で、宿泊費用は4,900円だ。
「9h」は、暗闇に動線のサインや矢印が浮かび上がる、映画のような未来空間を作り出している。「9h」は未来の都市生活のために、これまで世界のどこにも見られなかった斬新な価値を提供しているのだ。(zhuoling執筆)
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