2011年4月22日第15号(通巻第261号)
 

富士フィルムの新しいデジタルカメラ

毎年桜の季節になると、多くのデジタルカメラメーカーは春の新商品を発表する。今年は東日本大震災に見舞われたが、フィルムの老舗である富士フィルムでは4月に新製品の発表会を開催した。その中で、FinePix Z900EXRというコンパクトカメラが注目を集めている。さて、どんなカメラだろうか?

Z900EXRはコンパクトで美しいフォルムを持ち、おしゃれなスライドカバーのデザインで、レッド・ピンク・ホワイト・ブルー・シルバーの五色がそろっており、一目で女性向けの製品であることがわかる。この妖精のようにかわいらしいカメラは、電池やメモリーカードを含めてもわずか158グラムで、iPhone4と同じぐらいの重量である。

実際に操作してみると、似ているのは重さだけではないのに気が付く。カメラの後ろにはワイドタッチパネルがあり、パネルの隅には「HOME」と書かれたボタンがあるだけで、他には何もない。これもiPhoneにとても似ていないだろうか?また、iPhoneの操作と同じで、Z900EXRはパネルにタッチするだけでピント合わせをしたりシャッターを切ったりできる。撮った写真を見るときも、二本の指で画像を拡大・縮小することができる。このようなデザインにした理由は簡単で、iPhoneが使えれば、このカメラもすぐに操作できるというわけである。

だが、iPhoneとこんなに似ているなら、Z900EXRの存在価値はどこにあるのだろうか?iPhoneはカメラなどの各種機能を備えてはいるが、やはり携帯電話である。一方Z900EXRは、富士フィルムの製造した「カメラ」専用の製品である。このカメラが採用するセンサ「EXR CMOS」の画素は1600万で、最高感度はISO6400だ。また最新式の画像処理エンジンを搭載し、撮影場面の変化に応じて自動的に「人物」「ペット」「逆光」など49種のモードから最適なものに切り替えることができる。つまりZ900EXRでは、光線不足、色温度の偏差など、コンパクトカメラによくある欠点をほとんどなくしたと言えるのだ。また、Z900EXRは28−140mm相当の光学5倍ズームレンズを備え、デジタル動画撮影機としても、解像度が1920×1080ピクセルのHDフルハイビジョンデジタル画像を撮影できる。

また、撮影画像を再生する時、Z900EXRではスクリーンの上にプレビュー、下にサムネイルが表示される。このような一目瞭然の使いやすいデザインなので、デジタルカメラが苦手な人でも簡単に使用できる。Z900EXRの唯一の弱点は超接写撮影で、最短焦点距離が9cmなので、その点はまだ改善の余地がある。Z900EXRはオープンプライスであるが、小売価格は約3万円(人民元約2400元に相当)になると予想されている。(凱特執筆)

(C)富士フイルム株式会社

富士フイルムFinePix Z900EXR http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/z/finepix_z900exr/index.html

コンビニの移動販売車

東日本大地震が起こって、被災地にあった商店も大きな被害を受けた。営業を続けるのが難しくなった店舗があちこちに見られ、必要な生活用品を買える場所が少なくなっている。避難所で生活している人や、自分の家で何とか生活できる人たちに買物できる場所を提供することが、すぐにも解決すべき問題の一つになっているのだ。日本最大のコンビニチェーン、セブン・イレブンの運営会社は、今月13日から、被災地の復興のために移動販売車を投入した。これはこの会社で初めての試みである。販売車は基本的に、元のコンビニ店舗の駐車場に停車して営業する。

車内には、すぐに食べられるおにぎり、弁当、パンなどのデイリー食品やソフトドリンク、スナック、カップめんなどの加工食品、および日常生活で使用頻度が高い日用雑貨など、約100種の商品が用意されている。移動販売車には同社の冷蔵配送車(2トン)を使用し、車内には3尺のゴンドラを設置し、冷蔵保存の必要なおにぎりや弁当などを陳列する。加工食品や日用雑貨など、常温保存が可能な商品は車外で販売する。顧客は車内に入って商品を選び、携帯式の簡易レジで精算してレシートを発行してもらう。移動販売車は宮城県内の4つの店舗に設置され、営業時間は10時から16時までである。

セブン・イレブンと同様の大手コンビニチェーン、ローソンでは、4月11日から岩手県に移動販売車を出動させている。今回使用しているのは、元々ローソン近畿支社が保有していた車両である。車内には弁当、おにぎり、サンドウィッチなどの商品ケースと、ソフトドリンクの冷蔵ケース、および揚げ物調理設備が設置されている。移動販売車は本来、昼夜の人口差が大きい工業地帯で、営業効率を上げるために使われたもので、2008年11月から大阪府枚方市の工業地帯で営業し、約50種の商品を販売している。

地震や津波の被災地は、深刻な商品不足の問題が起こっており、今もまだ営業を再開できていないローソン店舗もある。販売車が準備する商品の数は、一般のコンビニよりはるかに少なく、食品しかないが、コンビニの主力商品は基本的に含まれている。普段の日常生活を象徴するコンビニの展開は、被災地の人々にとって他のものには代えがたい存在だ。また移動販売車は、交通網の回復とガソリン調達状況の改善を示す指針とも言えるだろう。(緋梨執筆)

(C)Seven-Eleven Japan Co., Ltd (C)LAWSON. INC.

セブン・イレブン公式サイト http://www.sej.co.jp/index.html ローソン公式サイト http://www.lawson.co.jp/index.html(日、英)

「PRAY FOR JAPAN」の書籍化

太陽光発電を利用して、東京タワーの大展望台に「GANBARO NIPPON」という文字が浮かびあがった。ろうそくをハートの形に並べ、世界各地の人々が一緒に祈った「Pray for JAPAN」では、ろうそくの光によって愛が伝えられた。短い言葉であっても、その行間には被災地の人々を思う気持ちが込められ、東日本が復興するための力と勇気を呼び起こしてくれる。大自然は東日本に残酷で無情な傷跡を残したが、天災に直面し、被災地の人々や、復興のために第一線で働くボランティアたちを見つめながら、遠くにいる我々には何ができるだろうか?

温かい言葉によって愛を伝える「Pray for JAPAN」の活動は、ツイッターから生まれた。長崎県の出身で、栃木県北部の一時避難所で20歳の大学生・鶴田浩之氏が停電の中たった一晩で立ち上げたWEBサイト「prayforjapan.jp」を通じて、世界各地の二百近い国から被災地の人々への励ましの声が伝えられた。それらは一秒に一つのペースで更新され、十ヶ国語に翻訳され、たくさんの言葉が人々の心を温かくした。講談社は、こうした国内外からの声を集めた「PRAY FOR JAPAN−3.11世界中が祈りはじめた日」という本を緊急出版することを決定した。一つ一つの祈りの心が、文字となって被災地の人々に伝えられるのである。この本は4月25日発売予定で、価格は1000円。印税は被災地に寄付される。

東京都千代田区に本社を持つ角川コンテンツゲートは、被災地の人々が一日も早く故郷に戻り、復興できるようにと、スマートフォーン(iPad/iPhone/iPod touch)向けに電子書籍を発売し、チャリティ活動を行う。この震災チャリティ書籍「Pray for JAPAN from JAPANESE CREATOR vol.01」は、東日本大震災の被災地を元気づけるために、三十名のクリエーターが創作したイラスト集である。発売期間は2011年3月31日から9月25日までだ。被災地の建設のために、9月以降にもさらに電子書籍が出版されるという。価格は1冊450円で、売り上げは赤十字を通じて全額被災地に寄付される。(葉子執筆)

(C)Pray for Japan (C)Kodansha Ltd. (C)KADOKAWA CONTENTS GATE Co. Ltd.

Pray for JAPAN  http://prayforjapan.jp/ BOOK☆WALKER  http://blog.bookwalker.jp/

行動する写真家たち

雑誌「PHaT PHOTO」(ファットフォト)を発行する株式会社シー・エム・エスは、3月11日に発生した東日本大震災からの復興を願って、「東京・ニューヨーク・北京・ロンドン連動チャリティ企画 50 EYES:Japan 2011 Save Japan Photo Cards Project」という支援活動を立ち上げた。この活動は、高木こずえ、テラウチマサト、中井精也、本城直季、前川貴行、Leslie Kee、RongRong&inri(北京/三影堂撮影芸術中心)、Sam Barzilay(NY/「ニューヨーク・フォト・フェスティバル2011」ディレクター)の8名の写真家が発起人となり、50名(+1名)の写真家たちが提供した作品から作られた絵葉書を、東京、ニューヨーク、北京、ロンドンの4大都市で販売し、すべての収益は日本赤十字を通じて被災地に寄付するというものだ。

この写真は今回の震災で二重の災害に見舞われた福島県の石川町で撮影された桜の花である。去年、桜が開花した頃に大雪が降った。春の突然の雪の中で一気に咲いた桜と季節はずれの積雪との組み合わせは、非常に感動的である。風景からどんな気持ちが喚起されるかということに、風景写真の価値はあるのかもしれない。人々の想像を超えた津波の情景は、絶望的な震災の風景を感じさせた。しかし、震災から一ヶ月あまりが経って、復興の槌音が人々に勇気を与える風景となっている。

町の瓦礫は次第に片付けられ、それに伴って人々のがんばろうとする気持ちが湧きあがっている。他者の悲しみに寄り添うことから希望が生まれ、困難なときに差し伸べられた救いの手が、人と人とを素直に向き合わせる。絶望した場所は、再び希望の光を見出す場所でもある。今回の活動の絵葉書の価格は、日本では1枚200円、北京では10元、ニューヨークでは2ドル、ロンドンでは1.5ポンドとなっている。一人でも多く参加すれば、一人分の希望が加わる。被災者たちのために、みなさんも是非絵葉書を購入していただきたい。この時代に共に生きる仲間として、復興のために共に努力していこう!

復興支援ポストカード販売情報

●T. I. P(Tokyo Institute of Photography)4月21日〜9月30日   ●リコーフォトギャラリー RING CUBE 5月1日〜9月30日
東京都中央区京橋3−6−6 エクスアートビル 1F            東京都中央区銀座5−7−2 三愛ドリームセンター 8F/9F
TEL: 03-5524-6994 URL: http://www.tip.or.jp/             TEL: 03-3289-1521 URL: http://www.ricoh.co.jp/dc/ringcube/

●Three Shadows Photography Art Center
4月24日より「草場地春の写真祭2011」期間中
北京市朝陽区草場地155号A座
URL: http://www.threeshadows.cn/jp/index_jp.htm

(C)Photo by Masato Terauchi 写真提供:株式会社シー・エム・エス

「50 EYES:Japan 2011 Save Japan Photo Cards Project」公式サイト http://www.savejapan.photocardsproject.com/
 PHaT PHOTO公式サイト http://www.phatphoto.jp/

一人用のソファ

五年前に東京に取材に行ったとき、偶然あるカフェで一人用のソファを見かけました。ソファの前には小さなテーブルがあり、テーブルの前にはまたソファがありました。どのソファも同じ方向を向いていて、まるで教室の机の配列のようです。当時私は、どうしてこのような一人分の席があるのかが不思議でした。

カフェに来るお客さんは一人の場合が多く、本を持ってきて静かに読む人もあれば、ノートパソコンで書類を作っている人もあり、さらには音楽を聴きながらコーヒーを飲んでいる人もいました。それで私は気がつきました。座席が一方向を向いているのは、坐っている人が他人と顔を突き合せないで済むようにするためなのでした。初めはこのような情景に驚きました。カフェに一人用の席があるのを見たことがなかったし、どうしてお客さんたちがみんな一人なのかも理解できなかったのです。私のカフェに対するイメージは、誰かと話し合ったり、友達とおしゃべりしたり、ショッピングで疲れてちょっと休んだりする場所という感じでした。

その後、日本のスーパーで一人暮らしの人のための「一人分の商品」コーナーを見かけました。そこには小分けした野菜や少なめの漬物、米やパンの小さなパックなどが並んでいました。日本には、仕事のために家を離れて、都会で一人で暮らす人が多いのですね。それに加えて最近は結婚しない人が増え、最初から望んだわけではなくても、次第にみんなが一人で食事をし、一人で映画を見、一人で本屋に行き、一人でコーヒーを飲み、一人で旅行するようになったのでしょう。ネットの発達と高齢化、少子化などの様々な要素によって、現代人の生活様式と意識は根本的に変化し、そこにこのような新しいビジネスチャンス、すなわち「お一人さま」の経済効果が生まれたというわけです。

ビジネスの話はともかくとして、私はなぜみんなが一人でいるのを好むのかについて興味を持ちました。私の身近には、人とのコミュニケーションが苦手で、人と付き合うのが面倒だと感じる友人がたくさんいます。確かに一人ならお愛想を言う必要もないし、相手の気持ちに気を使うこともなく、食べたいものを食べ、やりたいことを自由にやることができます。うるさいことを言う家族と一緒に生活する必要もなく、一人で住むのはとても気楽でしょう。こうして考えてみると、「一人でいる」ことが魅力的であることが理解できます。ただ、最近は独居老人だけでなく、若い人も一人でいることが好きだということに、私は不安を感じるのです。

一人が気楽で楽しくても、人と人との間にコミュニケーションや接触がなくなれば、生きていて孤独ではないでしょうか?例えば、おいしいコーヒーを飲む時に、誰ともそれを共有できなかったら、私は寂しいと感じます。みなさんが、時には一人用のソファに坐り、時間があれば友達や家族と連絡を取って、本当の「一人」にはならないことを願っています。(哈日杏子執筆)

Photo by 哈日杏子

「一個人」 http://www.kk-bestsellers.com/magazine/ikkojin/ 哈日杏子のブログ http://harikyoko.wordpress.com/(中、日)

生と死の瞬間を捉える

大地が激しく揺れ、津波が襲いかかった3月11日。宮城県石巻市の釜小学校の避難所の夕刻。10日後に出産を予定していた女性が突然陣痛を訴えた。周囲は泥と瓦礫なので、病院へ搬送することは不可能である。そこで、自宅が津波に呑み込まれたばかりの7人の男女の看護師たちが立ち上がり、停電中の小学校の保健室が臨時の分娩室になった。

暗闇の中で彼らは交互に懐中電灯を持ち、女性の背中をさすって励まし続けた。保健室にあった救急道具や裁縫道具などを分娩の道具とし、発泡スチロールの箱が乳児の保温箱となった。心を合わせた9時間の奮闘の末、余震が続く中、深夜の3時に男の赤ちゃんが産声を上げた。新しい生命が誕生した感動と、共に難関を乗り越えた喜びに、小学校の夜空には拍手が広がった。

このニュースを読んだ時、3年前の四川大地震の翌日にネット上に発表され、後に「ネット10大感動写真」に選ばれた「出産間近の妻をキスで勇気付ける夫」という写真を思い出した。緊張が続く地震の被災地の街頭で、手術服を着てヘアキャップをかぶった若い男性が、担架のそばに跪いて、衰弱した妊婦の手を握っている。彼らは無言で見つめあいながら、小さな生命が生まれてくるのを待っている。

突然男性は妻の手を唇に寄せ、キスをした。この誰も気づかなかった一瞬を、ある新聞記者がシャッターに収めたのだ。この静かなキスには、深い思いと幸福と感動の気持ちが込められ、彼は無言だったが、「恐がらなくていいよ。僕はここにいるよ。大丈夫だよ。」という心の語った言葉が伝わってくる。ふだんは当たり前だと思っている夫婦のキスに、災害の中で責任感と支える気持ちが加わり、愛といたわりの心が込められているのだ。

山が崩れ、地が裂け、無数の生命が呑み込まれる悲惨な状況の中で、一方では陣痛を経て新しい生命がこの厳しい世の中に生まれてくる…死亡と誕生という人生の二つの極が、同じ時空の中に生起している。そしてこの究極の時空の中で、人の優しさや夫婦の愛が、美しい地球の上で永遠に消えることのない賛美の詩となっているのである。(姚遠執筆)

(C)2011 NY Times Co. (C)新華網

東北地方太平洋沖地震発生時の全テレビ局同時マルチ画像 http://www.youtube.com/watch?v=eOrAwvJLKxo

鎌田紗綾(青山学院大学) 
身長166cm

賀本乃梨子(明治学院大学) 
身長162cm





【photo by Yao Yuan】

4/22(金)工藤慈子 「球美主義(キュビズム)」(〜4/27)  HB ギャラリー

4/23(土)飛騨神岡祭 岐阜県飛騨市神岡町船津

4/24(日)藤田ミラノ 「ヨーロッパに花開いた日本の抒情」(〜6/26) 弥生美術館

4/25(月)春季大祭(吉祥院六斎念仏)京都府京都市吉祥院天満宮内

4/26(火) 「クレヨンしんちゃん・Theアニメーションわーるど」展(〜4/10) 杉並アニメーションミュージアム

4/27(水)諏訪神社例大祭 新潟県佐渡市河原田本町河原田商店街

4/28(木) ddpublic 「2nd exhibition イト-ito-」(〜5/1) ミームマシンギャラリー

4/15(金)こどもの城に特別展示された『ガリバーの靴』に千人を超える応援メッセージ!

4/16(土)。「被災地まで元気を届けたい」。ご当地グルメ亀山集結、8団体が出場

4/17(日)iPhone/iPod touch向けアプリ『桃太郎電鉄JAPAN+』、国内累計100万ダウンロード達成

4/18(月)どんどん飲める、イチゴ&バナナ風味のプロテインを明治が発売

4/19(火) 東電、福島第1原発事故の写真を日本語サイトで公開

4/20(水)名古屋おもてなし武将隊、アイドルの聖地に出現

4/21(木)オリコン4位のSUPER☆GiRLS 水着&浴衣姿でCMに

【編集部からのお知らせ】

●特集でご紹介した歌手の北村優希さんの初めてのUstreamライブが、4月23日土曜日の午後7時から行われます。放送は約1時間の予定です。ご興味のある方は、「kikkyのほんわか気分」をご覧ください。

●日本のゴールデンウィークの休日に合わせて、メルマガの発行日を以下のように調整します。4月29日(金・昭和の日)の分は28日(木)に発行し、5月6日は休刊し、5月13日(金)からは通常通りに金曜日発行となります。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

●5月18日(水)には、特別増刊(第51号)を発行し、最近中国のネット上で人気を集めている「東京浮遊少女」の独創性についてお伝えします。先日ネット上で募集した読者のみなさんからのご質問に対しては、近日中に「ツイッター」と「新浪微博」でお答えします。ご期待ください!

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