5月1日についに開幕となった上海万博は、連日たくさんの来場者で大盛況のようだ。今から40年前、日本の大阪でも万博が開催された。そこでシンボルとなったのは日本の高度経済成長のシンボルともなった「太陽の塔」だった。現在でも中国自動車道を通ると、大阪府下を見下ろしている太陽の塔を見ることができる。
かの有名な芸術家、岡本太郎の代表作のひとつである太陽の塔は3つの顔を持つ。未来を表す上部の黄金の顔、現在を表す正面胴体部の顔、そして、過去を表す背面に描かれた黒い顔・・・。塔の高さは65メートル、底の直径は20メートル、顔の直径は12メートルもあり、実際に塔の足元まで近づいてみると、想像以上の大きさに圧倒される。
塔の内部は、空洞となっており、生命を支えるエネルギーの象徴、未来に向かって伸びてゆく生命の力強さを表現した「生命の樹」と呼ばれる高さ45メートルの巨大なモニュメントが隠されている。万博開催当時はこの内部を、音楽やナレーションを聞きながら鑑賞することが出来た。
その後、2003年までこの塔の内部は非公開となっていた。2003年から2007年まで不定期に公開されたこともあったが、著作権の関係上、内部の撮影は禁止されていた。また、黄金の顔の目に取り付けられていたサーチライトのように光を放つキセノン投光器は、万博終了後に故障があり、点灯出来なくなっていた。
今年は万博開催40周年ということもあり、非公開となっていた内部の再展示が予定されている。既に3月27日から黄金の顔の目が、日没から23時まで点灯されている。今回、その目はLEDで発光される。近代技術の輝かしい進歩により、40年前に誕生した芸術作品がさらなる進化を遂げている。(亜遊民執筆)