北は北海道から南は沖縄まで、日本には全部で14の世界遺産がある(自然遺産3ヶ所、文化遺産11ヶ所)。本メルマガでは、順次これらの世界遺産をご紹介していく予定である。今回は、北海道、東北、関東、中部から、4つの世界遺産を取り上げた。
●知床半島 流氷がもたらす大量の微生物によって、バラエティ豊かな魚介類が育っている。サケが産卵のために川をさかのぼり、それをヒグマやオジロワシが捕食し、動物たちの排泄物や死骸が植物の栄養源となって大地に還っていく。海と陸にわたって展開する食物連鎖の特殊性、オオワシやフクロウなどの多くの絶滅危惧動物、美しい知床連山の800種以上の高山植物・・・。知床と世間を隔絶する断崖絶壁が、これらの貴重な原始の自然を守ってきた。2005年に世界自然遺産に登録された。
●白神山地 青森県と秋田県にまたがる白神山地は、約8000年前に形成されたブナの原生林で、総面積は130000ヘクタールにわたり、世界でも珍しいものである。ここに広がる陸地、淡水、沿岸、および海洋の動植物は生物生態学の生きた教科書とも言えるものであり、1993年に17000ヘクタールが世界自然遺産に登録された。白神山地西北部に位置する十二湖は、280年前に地震によって形成された山中湖沼群である。湖とブナ林を散策するのに最も良いのは、王池、鶏頭場(けとば)の池、青池のコースであろう。青池の神秘的なブルーの湖水は感動的である。
●日光の神社と寺 勝道上人が開いた山岳信仰の聖地である二荒山神社、神君家康を祀った日光東照宮、比叡山延暦寺と並ぶ天台宗三山の一つである輪王寺。これらの二社一寺に周囲の遺跡や自然環境を加えた日光は、人類の創造的才能が大いに発揮された傑作であり、人類の歴史の重要な証人としての建築群でもある。1999年に世界文化遺産に登録された。
●白川郷/五箇山の合掌造り 昔話のような風景を白川郷の萩町部落周辺では随所で見ることができる。到着したらまず萩町城の展望台に上り、合掌造りの民家が並ぶ様子を眺めるといいだろう。重要文化財に指定されている和田住宅は、白川郷で最大規模の合掌造りである。1300年もの伝統がある祭りを紹介するどぶろく祭りの館や、廃村の民家で作った野外博物館の民家園「四季の五箇山」(点灯の儀式)など、見ごたえのある施設や見所が満載である。1995年に世界文化遺産に登録された。 (南天執筆)
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