大学には、授業に出なくてもテストに合格すればいい科目もあるが、出席数が足りないと単位にならない科目もある。そこで単位を取るために、大学には代返をする学生が蔓延することになる。最近多くの大学ではICカードの学生証による方法を使っているが、友達が自分の学生証を持っていって代返してくれれば、見つかることは少ない。こうした代返を防止するために、神奈川県川崎市のアルファメディア社では、川崎市が推進する「知的財産交流会」を通じて富士通の開放特許を利用し、代返を効果的に防止する出席管理システムのスキャナ装置を開発した。
このスキャナ装置の名前は、「かいけつ出席代返防止版」という。最大の特徴は、学生証と座席の情報を自動的に対照できることにある。アルファメディア社が3年前に開発した「かいけつ出席」のスキャナ装置は、学生証情報を自動的に読み取るもので、紙に名前を書く方法に比べて出席管理の時間を大幅に短縮した。このシステムは立正大学、日本工業大学など6つの大学で採用され、200台が販売された。最近になって大学が、学生証を使って代返するのを防止する管理システムの開発を希望したため、同社は様々な模索を行った結果、去年9月に開催された知的財産交流会で富士通に相談をもちかけ、半年の協議を経て、タグと呼ばれるチップを使った富士通の技術によってついに新しい装置を開発したのだ。
新しい装置が以前のものと異なる点は、スキャナで学生証を読み取った後、学生は各自の席にあるタグが付けられたスキャナでもう一度読み取りをしなければならないというところだ。机のタグには固有の識別情報が入っており、アルファメディア社独自のスケルトンタイプのRFIDタグは、二重読み込みを防ぐ手段である。1枚の学生証と机のタグから得られる情報が対照されて出席状況を確認し、学生証の多重読み取りを防止できる。代返をしたければ、出席時に座席を移動する必要があり、教授に見つかってしかられる危険が増加する。アルファメディア社の小湊宏之社長は、この装置によって代返がしにくい雰囲気と環境ができればと語っている。新しい装置は1台約12万円で、今年の夏には販売が開始される予定である。予定販売目標は、3年間で1000台である。(緋梨執筆)