CDショップでも映画館でも、ついつい店内に置かれたフリーペーパーを手に取ってしまう人は多い。読むかどうかは関係なく、どうせ無料だからと、とりあえず取ってきてしまうのだ。だが、無料だからと言って馬鹿にしてはいけない。これらのフリーペーパーの質はなかなか高いのである。こんな面白い内容が無料?と驚くほどよくできたフリーペーパーを、街のあちこちで手にすることができる。
フリーペーパーを一堂に集めた、東京渋谷のフリーペーパーショップ「Only Free Paper」が、今人気急上昇中だ。実に様々な種類の無料の新聞や雑誌が、店の中いっぱいに置かれている。平日は1日平均100人、休日には300人ぐらいが来店する。音楽、流行、旅行など、各種の情報が載せられたフリーペーパーが人々の注目を集めているのだ。昨年の12月に開店して以来、常に1000種以上のフリーペーパーが並べられており、気に入ったら持ち帰ることもできる。
タワー・レコードなどの大型チェーンが発行したものもあれば、個人が作った1枚だけのものもある。種類、大きさ、厚さなどもバラバラだ。並べるのも無料である。お客さんの多くは40歳以下の若者たちだ。ブログでどんなフリーペーパーがあるか紹介されているので、種類の豊富さを確認することができる。多くの人に知られたものもあるが、兵庫県尼崎市が発行する、僧侶のインタビューや仏教についての記事が載せられた「フリースタイルな僧侶たちのフリーマガジン」のように、ちょっと想像しにくいようなものも少なくない。
1000種以上のフリーペーパーの中で、特にお薦めしたいのが、「NEWTRAL」だ。これは、22歳の大学生数名が同世代の人々に向けて発行したジャンルレスのフリーペーパーである。内容はというと、執筆者が好きなアート作品をカタログ形式で紹介したり、漫画があったり、「政治家小沢一郎は死なない?」というコラムが載っていたりする。硬軟取り混ぜた内容が人気の秘密で、並べたとたんになくなってしまうという。また、朝日新聞が隔月で発行している人気エコ雑誌の「マイECO」もここで入手可能である。
店内のフリーペーパーの一部は、店主が長年かかって集めた私物なので、持ち帰りできないが、ほとんどはもちろんただで閲覧でき、ただで持ち帰れる。ただし、より多くの人が読むことができるように、1種類につき1部しか持ち帰ることができないなどのルールもあるとのことだ。(ff執筆)