人気イラストレーター、エッセイストのたかぎなおこさんの新刊「マラソン2年生」が、11月19日にメディアファクトリーから発売された。たかぎさんは、2003年に「150cmライフ。」でデビューして以来、日本のみならず、中国、韓国、タイなどアジア各地で作品が出版されている超売れっ子だ。
その作品の特徴は、日常生活の小さな出来事がほのぼのとユーモアたっぷりに描かれており、誰もが共感できるということだろう。例えば人気作「上京はしたけれど。」や「ひとりぐらし」シリーズは、夢を追いかけて東京で一人暮らしを始めたたかぎさんが、悩みながらも持ち前の明るさで生活を楽しむ様子が描かれ、同じように一人暮らしをしている中国の読者などからも「まるで私のことが描かれているよう!」と多くの反響が寄せられている。また、「ローカル線で温泉ひとりたび」などに描かれている、力まずゆったりと一人旅を楽しむ姿は、女性たちに新しい旅のスタイルとして受け入れられた。
今回発表された「マラソン2年生」は「マラソン1年生」の続編で、たかぎさんが沖縄県の与論島で、ホノルルに次いで人生2度目となるフルマラソンに挑戦する話。今回はどんな面白いハプニングに見舞われるのだろうかとページをめくると、マラソンだけでなくグルメ、ファッション、友情など、様々な話題がカラフルなイラストや写真と共に溢れ出てきて、すぐに物語の中に引き込まれてしまう。そしてコースの難所を観客の声援を受けながら走り抜いたり、美味しい郷土料理に舌鼓を打ったり、いつの間にかたかぎさんたちと共に時を過ごしているような気分になってしまうのだ。読み終わる頃には「人と比べず、自分のペースで楽しみながら走る」ということを大事にしながら、着実にゴールへと近づいていくたかぎさんの姿に感動を覚え、とても爽やかで温かな気持ちになることだろう。あるがままの今の生活を大切にしながら、他人に左右されず着実にやりたいことを実行していく。それがたかぎなおこさんの作品が多くの読者の共感を得て、愛され続けている理由であろう。(林愛香執筆)