日本のコミック雑誌「ウルトラジャンプ」に掲載されている中国の漫画「誰も知らない〜子不語〜」(原題:子不語)の、日本語版単行本の1巻、2巻が、去年の7月と今年の3月にそれぞれ発売された。8月8日には中国で第3巻が発売され、日本語版もつい先日発売された。
「誰も知らない〜子不語〜」は日本の雑誌に連載されている唯一の中国作品である。作者の夏達は今年29歳だが、17歳ぐらいに見える若くて美しい女性である。そのためマスコミに「漫画の登場人物より素敵」「年を取っても若さを保つ伝説の天山童姥のようだ」と言われ、日本の読者は「萌え〜!」と叫んでいる。だが夏達自身は「美女」と言われることを非常に嫌っており、読者が彼女ではなく作品の方にもっと注目してほしいと考えている。
夏達は子供の頃から漫画が好きで、いちばん好きな作品は「スラムダンク」や「幽遊白書」などの熱血少年漫画だ。彼女は90年代末から中国のコミック雑誌に作品を発表し始め、ついにプロの漫画家になった。だが10年前の中国では、オリジナルの漫画を描くことは非常に苦しいことだった。彼女も自分のブログでこう書いている。「飢えることも苦しいこともあり、ひどい病気になったこともある。痩せているのは消化器の調子がひどく乱れたためで、髪が長いのは美容院に行くお金がなかったから。毎日自分の心と体を痛めつけて、ひたすら描き続けた。自分の命を捧げたから、神様も私に一筋の光を与えてくれたのだろう。」
その後、夏達は「夏天島工作室」に加わり、「四月」「子不語」「遊園驚夢」などの有名な漫画作品を生み出すことになる。2008年に、夏天島を通じて日本の大手出版社、集英社と協力関係を結び、「子不語」が中国を出て、「漫画のハリウッド」と呼ばれる日本市場に登場することになった。2010年6月、夏達は東京池袋のジュンク堂書店でサイン会を行い、4時間のイベントにはファンが絶えることがなかった。有名な漫画の巨匠、大暮維人さんも駆けつけてくれた。
「子不語」という言葉は「論語」の述而編にある「子不語怪力乱神」という言葉から来ている。9歳の少女「莫語」が両親と田舎町に引っ越してきて、不思議なできごとに出会うという物語である。作品は短篇から成っているが、どれもつながりを持っており、最後には一つの長編となる構造だ。画風が新鮮で、ストーリーは不思議な内容だが恐ろしくはなく、日中両国の読者に愛されている。(松鼠執筆)