最近ネットを最も賑わしている話題と言えば、ツイッター(Twitter)を忘れるわけにはいかない。おしゃべりを楽しんだり、独り言をつぶやいたり、未知の世界を探索したり、ツイッターを始める動機は様々だが、ツイッターの世界をユーザーたちが創り出していることは間違いないだろう。ツイッターで制限されている文字数内で文章を書くこと自体は、さほど難しくない。だがいざ創作をするとなると、簡単なことではない。頭の中にある書きたいことを、140文字以内で表現しなければならないからだ。
第1回Twitter小説大賞(ディスカバー・トゥエンティワン主催)の受賞作品が、先月発表された。全部で2357作品の応募があり、内容はコメディ、ホラー、SF、恋愛、推理、人情など、様々なテーマにわたっており、短いながらも表現力は力強く、最終選考に残った75作品について、審査員たちは白熱した討論を繰り広げた。今回は、小説家の黒崎薫さんが特別審査員を務めた。今回の大賞の賞金は5万円。大賞を受賞したのは、ユーザー名「bttftag」さん作のある小さな郵便局に手紙を持ってきた女性の物語だ。作品にタイトルはない。「bttftag」さんによって綴られた物語を紹介しよう。
町の小さな郵便局に今週も彼女は現れた。局員たちに水曜日さんと呼ばれる彼女が今日差し出した手紙にはしかし宛名がない。「これじゃ届きませんよ」苦笑しながら顔を上げた彼の目に映ったのは、うつむき加減できゅっと口元を引き結び、真っ直ぐに彼を見つめる真摯な瞳だった。
審査員代表の干場弓子さん(ディスカバー・トゥエンティワン社長)は、「いずれも140字という短い字数制限のなかで、一つの物語として成立・完結しており、140字の持つ無限の可能性にあらためて気づかされた」と語っている。元々は、大賞作品1つ、優秀作品5つを選出する予定だったが、優秀な作品は甲乙つけがたく、審査員たちは「審査員特別賞」を増設することにした。応募作品の書籍化も、現在検討中である。
Twitterの小説投稿専門サイトが開設されてから、わずか3ヶ月で10000を超える作品が集まり、新しいネット小説の書籍も生まれている。興味のある方は、「Twitter小説集 140字の物語」を読んで、超短篇による21世紀の新しい小説世界を味わってみてはいかがだろうか?(南方執筆)