SASAO(笹尾光彦)氏は静岡県静岡市の出身。多摩美術大学を卒業し、1997年に画家として独立した。翌年には初めて東京渋谷のBunkamuraギャラリーに登場し、それから毎年「花のある風景」をテーマにここで個展を開いている。かつて広告デザイナーだった彼は、抜群の色彩感覚と品位によって、花をテーマとした多くの作品を発表している。
昨年は大きな期待を集めた新シリーズ「The Shelf」が広く好評を博した。「The Shelf」の作品は、SASAO氏自身の家やアトリエの棚をテーマとし、彼が特に気に入っているパリで購入したティーカップやエッフェル塔の置物など、可愛らしい小物や雑貨などが作品の一部分になっており、何気ない毎日の生活に華やかな色彩を与えている。
SASAO氏は長野県の安曇野に自分のアトリエを持っている。彼はアトリエで、画家として自分の心の中を表現すると共に、キャンバスを通して人々に心の癒しを与えている。座り慣れた気持ちのよいソファーにもたれかけ、安曇野の美しい空気と緑の芽吹きを感じ、壁に掛けられた自分が尊敬する画家たちの作品を鑑賞しながら、SASAO氏はインスピレーションを得ているのだ。
SASAO氏の作品に描かれているのは、すべて生活の中の断片であり、高すぎる理想や夢のような物語はまったくない。単純な構図と鮮やかな色彩、そして油絵の存在感によって、キャンバスの中に開いた花が空間に色彩を与えている。誰でも知っている有名画家の作品や華やかな流行の絵とは異なり、彼の絵には生活の温かさが溶け込んでいる。そのため、SASAO氏の作品はどんな部屋に飾っても、親しみ深い感覚を与えてくれる。
第13回SASAO絵画展「花のある風景」では、去年好評だった「The Azumino Studio」、「The Shelf」シリーズの他、バラをテーマとした新シリーズ「The window with roses」を発表する。ファンのみなさんは、笹尾氏のますます高まる創作意欲と味わい深い作品に是非期待していただきたい。(ff執筆)
期間:2010年10月8日(金)〜10月20日(水) 営業時間:10時〜19時 入場無料 お問い合わせ:Bunkamura Gallery 03-3477-9174