まったく知らない人と高級マンションをシェアするという生活スタイルが、近頃、20代から30代の人々の間で静かに流行している。ちょっと聞くと、家賃の負担を軽減するためかと思うが、実はそうではない。シェアする家には自分の個室の他、数十平方メートルの広い客間や、バー、ビリヤード台、果てはジムまで共同で使えたりするのだ。こうしたシェアハウスに住む人の多くは、収入が平均よりも高い社会人である。もともと豊かな生活を象徴する豪華マンションは、シェアしても快適で楽しい生活は変わらず、家賃は気軽に払える金額なので、メリットが大きいのだ。
渋谷駅から徒歩7分の圏内で、築20〜30年の小さなマンションを借りても、10万円近くかかる。渋谷の円山町は、かつては芸者が多い花街として有名であったが、現在でも渋谷の繁華街の中心地である。マンションの7階にある「花街shibuya」という名前を持つシェアハウスは、マンションの最上階のペントハウスで、もともとはこのマンションのオーナーが自分のために作った豪華な住居であった。運がよければ、このようなシェアハウスに出会える可能性もある。
玄関には安全性の高いオートロックが採用され、不在の時に来た小包などを保管するために専用の宅配ボックスがある。豪華な客間には柔らかい紫色のソファがあり、昔の貴族を連想させる。洋風の部屋と琉球畳、ふすまの組み合わせは、なかなか新鮮だ。最新式のシステムキッチンの3口コンロには、料理好きの人も満足するだろう。食器や家電などもしっかり完備されている。大型の大理石の洗面台の向かいには洗濯機がある。だが浴室は一つなので、5人でのシェアは、少し不便を感じるかもしれない。部屋の配色と設備は異なり、それぞれのテーマがある。7平方メートルのウォークインクローゼットがある部屋もあり、外出前の服を選ぶ時間も楽しそうだ。
安い家賃で豪華なマンションを楽しむことは、確かに魅力的である。シェアハウスに住む場合、お互いのプライバシーを守ることは必須であるが、まったく知らない他人と一つ屋根の下に住むことに煩わしさを感じることはないのだろうか。高級シェアハウスの住人は、若いクリエーターやビジネスマンが多く、同じ業界や異なる業界の人と交流することで、たくさんの新鮮な発見があったり、多くの友人と知り合うチャンスが増えるなど仕事にも役立つのだそうだ。これは一人で生活している時には絶対にないことだろう。どうやら、煩わしさよりも人との交流で得られる付加価値を重視して入居する人が多いようである。(青空之心執筆)