あたりは真っ暗、座席は木製、明滅する光線、フィルムが回る音……、70〜80年代の映画館について、こんな思い出をたくさん持っている方も多いだろう。当時の人々はスクリーンを通して、日常生活とは異なる世界を見ながら、映画界で活躍する人々を覚えていったのだ。ブルース・リーの「ドラゴンへの道」は、香港映画史上初めてのヨーロッパロケが行われた映画だった。ジャッキー・チェンの「プロジェクトA」シリーズは、カンフー映画に無限の楽しさをもたらした。ジェット・リーの初主演作「少林寺」は、世界にカンフーブームを巻き起こした。チョウ・ユンファの「男たちの挽歌」は、マフィアの世界を背景に男同士の友情を描いて話題になった。
数十年の日々はあっという間に過ぎたが、当時の古典的作品の価値は時間の流れによって色あせることはなかった。改めて古い映画を見て、古い友達に会ったような懐かしさを覚える時、積み重ねられた歳月を深く感じさせられる。2011年8月1日から2012年5月にかけて、毎晩7時50分から、横浜・みなとみらいのブリリア ショートショート シアターで香港映画祭りが行われる。イベントは36週間続き、ジャッキー・チェン、ブルース・リー、ジェット・リー、チョウ・ユンファが出演する36本の精選された香港映画の名作が、週替わりで1本ずつ上映され、観客は半年間の映画の祭典を満喫することができる。スタートを飾るのは、動く木製の人形“木人”と戦うという奇抜なアイデアで、観客に衝撃を与えた初期ジャッキー映画随一の傑作『少林寺木人拳』という渋いセレクト。ジャッキー・チェンの作品は激しいカンフーアクションが見所だが、血が流れるシーンは少なく子供から大人まで誰もが楽しめるエンタテイメント。大画面でぜひこの迫力を味わってほしい。後に続くのもファンにはたまらない数珠のラインナップを揃えている。
チケットは上映日の一週間前から発売され、大人1000円、子供と60歳以上は800円である。イベント期間には、さらに香港映画祭り限定版の点心とカクテル、シャンパン、ジャスミンティーなどの飲み物が楽しめ、目を楽しませると同時に口も楽しませることができる。「死亡遊戯」「奇蹟(ミラクル)」「蛇鶴八拳」……みなとみらいで開催される香港映画祭りというすばらしい機会に、香港映画の傑作を通じて、日本の観客に異国の文化と生活をもっと理解してもらえるだろう。映画文化の相互交流で、香港映画産業の発展もさらに推進することができるに違いない。だが映画市場の育成は一朝一夕にはできない。これからさらに、長い道を歩んでいかなければならないだろう。(葉子執筆)