今年で第23回目を迎えるアジア最大規模の映画祭「東京国際映画祭」が、東京・六本木で10月23日から31日まで開催されている。映画祭のメインとなる「東京サクラグランプリ」を競うコンペティション部門には、今年も中国、フランス、アメリカ、イラン、イスラエルなど世界各地の優秀作品15本が選ばれ、映画ファンたちを沸かせている。今年の作品の特徴は、カズオ・イシグロの「わたしを離さないで」や、タチアナ・ド・ロネの「サラの鍵」など、ベストセラー小説を大きなスケールで映画化した作品があることや、将来を期待される若手の監督たちによる、独自の世界観に満ちた作品が多いことだ。また、世界最年長監督の一人、98歳の新藤兼人監督は、自身の映画人生最後の作品と語る「一枚のハガキ」で、戦争の残酷さを描き出し、私たちに平和の大切さや命の尊さを改めて訴えかけている。
同映画祭ではコンペティション部門以外にも、ブルース・リーの生誕70年記念特集や、自然と人間との共生をテーマとした「natural TIFF」部門、アジア映画を集めた「アジアの風」部門などがあり、合計約200本の作品が上映される。さらに提携イベントとして「2010東京・中国映画週間」や「コリアン・シネマ・ウィーク2010」なども各地で開催され、東京は映画祭ムードに染まっている。
23日のオープニング・イベントには、日本を代表する女優、藤原紀香や木村佳乃、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ、全米で大ヒットし、同映画祭のオープニングも飾った「ソーシャル・ネットワーク」の主演俳優ジェシー・アイゼンバークなど、豪華ゲスト333人が登場。さらにゲストたちが登場した200メートルにも及ぶグリーンカーペットには、一般観覧者3200人と580以上のマスコミが詰めかけ、会場の六本木ヒルズ周辺は華やかな雰囲気に包まれた。最終日の31日には、クロージング・イベントが開催され、今年の各賞と東京サクラグランプリ受賞作品が発表されることとなる。(林愛香執筆)