ゆったりしたスタンドカラー、ウエストをしぼったチュニック丈のシャツ。自転車を象徴するシルバーグレーと空色の組合せが、自転車がエコ・スポーツであることを強調している。ベルトでウエストのサイズ調整が可能で、Tシャツにもブラウスにも適している襟のデザインによって、それを着る女性はどの場面にあっても輝くことができ、スポーティであると同時にエレガント。これは、東京ファッションデザイナー協議会(CFD)所属会員である稲葉みちよさんが「第63回日本選手権競輪」の場内スタッフのためにデザインした制服である。
横浜元町に生まれ育った稲葉さんのデザインコンセプトは「本物だけが持つ輝きを追い求めること」である。バンタンデザイン研究所ファッションデザイン科を卒業した稲葉さんは、輸入テキスタイル会社を退職後、1993年に有限会社ワッツアップを設立。横浜元町にショールームショップ「ブティックAURA」を開店した。1996年からは東京コレクションに参加し、一貫して「リッチな不良」をコンセプトとして、アナログとデジタルが融合したデザインを発表してきた。
稲葉さんは、(株)東芝、花王(株)、サミー(株)、(株)TBS、(株)タカラトミーなど数多くの企業とコラボレーションし、積極的にデジタル分野の企画デザインを行っている。また、多くのデザインコンテストで審査員を務め、評論家や講師としても活躍している。2004年9月には、中国の紹興市で行われた東京田中短期大学・ファッションショー「一衣帯水」で、総合プロデュースを担当した。有名ホテルや日本航空学園、一流企業などの制服デザインなども行っている。
また、健康食品ブームの中で、「MOSH+(モッシュプラス)」というナチュラル・カフェを開店した。ここではオーガニック大国アルゼンチンの食品が豊富に揃えられている。「コクーン・プロジェクト」は、稲葉さんが2006年から始めた「衣食遊」トータルプロデュースの企画である。この「コクーン・プロジェクト」の一環として開発された「うのはなスコーン」は、純日本産の大豆を使ったおからにシルクパウダーを加えた、低カロリーで食物繊維が豊富な商品である。卵も小麦粉も含まないこの商品は、健康ダイエット食品としてこれ以上のものはないと言えるだろう。
稲葉さんは、今後も人と人との心の輪を大切にし、音楽、美術、映画などの異なる分野のアーティストや企業のファッションプロデュースを、テレビ、ラジオ、新聞など多くのメディアを通じて行うことによって日本から世界に向けて自分のデザインを発信していくつもりである。(南風執筆)