百万枚単位の画像をコンピューターで無作為に組み合わせ、プロジェクターで建物や山などに投影し、幻想的な空間を創り上げる。偶然の連続で創り出される映像は、二度と見ることのできない一期一会のアートとも言えるだろう。建物や自然の持つ存在感と地球の自転の速度に併せてうつろう、ゆったりとした映像の変化に思い思いの気持ちをゆだね楽しむ。このD-K――デジタル掛け軸は、世界的に活躍するデジタルアーティスト長谷川章氏が創作考案した光のアートである。 昨年の12月11〜20日の間、京都の虚空蔵法輪寺にて今年で5年目となる京都嵐山花灯路――D-K LIVE「心・慎 in 嵐山・法輪寺」(嵐電「京福電鉄」協賛)が開催された。寺の屋根や壁面、借景の山まで万華鏡のような光が彩り、ご当地では、「十三参り」としてお馴染みの法輪寺がいつもと違う顔をみせ、まるで夢の世界に迷い込んだかのような気分を味わった。 石川県在住の長谷川章氏は、CM制作や番組制作を経て、国内外で活躍中の映像の世界に革新をもたらした一人である。これまでに国外では、ギリシャ(アクロポリス)・アメリカ(サンノゼ)・上海、国内では、大阪城・熊本城・名古屋城・伊勢神宮・太陽の塔・嵐山(法輪寺)・嵐電・京都市役所など、世界各地でD-Kを投影し評価されている。また、アメリカパブリックアート2007のベストアーティストに選出され、日本の教科書「情報C」でも紹介された。小松を拠点に、中国中央電視台CCTV新ロゴ、ステーションイメージ映像制作の担当や、アメリカの美術館のプロジェクトに参加するなど、国内外で精力的に活動している。(取材協力:西田みゆき・MoonLight執筆)
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