猛暑の季節がやってきた。原発問題に端を発した電力不足が、日本に影を落とし始めている。電力使用率の数字が天気予報と同じように常に更新され、あちこちで見ることができる。だが、必ずしも悪いことばかりではない。ゴミの回収を利潤の高い産業に変えてしまうこの国は、震災復興のこの時期にも、新たなビジネスチャンスを発見して大いに活用していくに違いない。
日本最大手の家電量販店、ヤマダ電機では、最近新たな拡張を開始した。去年、新宿駅東口に7階建てのビルを建てたのに続いて、今年の7月15日には新宿駅西口にも量販店を開店した。ここ数年、経済危機のために経営が振るわない家電量販店だが、なぜヤマダ電機は震災の後に店舗の拡張を始めたのだろうか?
その理由は、電気不足がもたらしたビジネスチャンスである。電力使用率が100%を超えないようにするために、ほとんどの企業や家庭が節電を考えている。そこで、扇風機、太陽光発電、LED電球(発光ダイオード電球)や節電機能を備えた冷蔵庫、空調など、「節電」と「エコ」に関わるすべての製品が、この夏の熱い購買対象になっているのだ。
従来の電球は、タングステンフィラメントを燃焼させて光を発するもので、大量の熱エネルギーと電力を浪費する。だが発光ダイオードは通電と同時に発光するので、LED電球の電力使用量は、同じ明るさのタングステンフィラメントの電球のわずか10%なのだ。しかもダイオードは寿命が長く、LED電球は20年ほど使えると言われている。しかしLED電球は価格が高く、一つ数百人民元もするので、最初に日本市場で売り出された時、あまり人気が出なかった。だが今年は、LED電球が飛ぶように売れている。同じようによく売れているのは、扇風機である。ヤマダ電機新宿西口店の開店時には、500台の安い扇風機が並べられたが、あっという間に売り切れてしまい、新型の羽のない扇風機も需要に供給が追い付かない状態だ。子供のいる家庭では、扇風機を何台も買っているようだ。
新開店の店舗自体にも、たくさんの太陽光発電パネルを取り付け、全店でLED電灯を使用して省エネ問題に取り組んでいる。もともと新宿地区は、有名な家電量販店、ヨドバシカメラやさくらやの誕生した場所であり、数年前にはもう一つの大手量販店ビックカメラがここに大型店舗を開店した。熾烈な競争によって、さくらやは去年破産宣告に追い込まれた。ヤマダ電機の力強い拡張は、家電業界の競争をますます激化させるに違いない。(凱特執筆)