セイコーウオッチ株式会社は、国際見本市バーゼルワールド2010で、クオーツウオッチ誕生40周年を記念した腕時計を発表した。希望小売価格は52万5000円で、10月8日から販売を開始する。クオーツウオッチの過去、現在、未来を象徴するこの数量限定モデルの腕時計は、全世界にわずか200本で、日本国内で販売されるのは20本である。
クオーツウオッチの原理は、通電すると安定した高振動が発生する水晶の原理を応用し、ICで速度を調整して、モーターで針を動かすというものである。1969年12月にセイコーは世界初のクオーツウオッチ「セイコー クオーツ アストロン」を発売した。価格は45万円で、当時としては非常に高価なもので、普通の自動車一台分の価格に相当した。69年版の「セイコー アストロン」は、世界初のクオーツウオッチで、一般の機械時計に比べて精度は数十倍も高く、一日の誤差はわずか0.2秒だった。クオーツウオッチの登場に伴って腕時計の精度は格段に向上し、私たちはいつでも正確な時間を知ることができるようになった。現在世界の腕時計生産数は8億6500万本と推計されるが、そのうち98%がクオーツ式である。
今回数量限定で売り出される「セイコー クオーツ アストロン2010」のデザインは、69年版の「セイコー クオーツ アストロン35SQ」をベースに現代風の新しいアレンジを加えたものである。各部分に水晶を象徴する特別の意匠を見ることができる。ダイヤルには40個の水晶マークがあり、背景には水晶の結晶である六角形が型打ちしてある。通常はラインや円形になっている分目盛も六角形になっている。竜頭に刻印されたセイコーの「S」マークの周囲も六角形のデザインだ。セイコーエプソン社が開発に参画した、5方向の数値制御の切削という最先端加工技術によって、このような未来感のあるデザインが実現した。セイコー独自のチタン合金製のケースは、裏蓋が本体を包む特殊構造を採用し、リング部分や側面は黒い光沢の鏡面加工処理をした後、硬質コーティングを施し、通常のブライトチタンに比べ硬さを2倍以上に高めた。テストとエージング後選別を経た水晶振動子が年差10秒の正確さを実現している。秒針は制止時に発生する僅かな振動による誤差を効果的に抑えている。新旧二つのアストロンを比較すれば、セイコーのエンジニアの腕時計に対するこだわりと愛を深く感じるに違いない。 (ff執筆)
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