iPadの発売により、ますます普及する電子書籍は、今後、どういった方向に発展していくのだろうか?印刷された本は重たいし、場所も取るので、収蔵価値のある珍しい本以外は電子化してしまいたいというのは多くの愛書家が考えることであろう。だがスキャナーを使った経験のある人は、そのアイデアは素晴らしいが、印刷物の電子書籍化は簡単な作業ではなく、そこに費やす労力を考えると割に合わないと思うに違いない。
自分の労力や時間を使うことなく、わずかな費用で書籍の電子化が可能なのであれば、多くの人が試してみたいはずだ。ドライバレッジジャパン社が提供する「書籍スキャン」サービスでは、350ページ以内の本を電子データに変換するのに一冊あたり90円しかかからない。非常に安い価格に、多くの人が驚かれるであろう。
「書籍スキャン」サービスの利用方法は簡単。まず電子化したい本が処理条件に合致していることを確認する。そして本の冊数を計算し、ドライバレッジジャパン社に申し込み、支払いを済ませてから本を梱包して郵送する。そして、専用のサイトからファイルをダウンロードするか、電子書籍を焼いたDVDを受け取る。スキャンサービスが安価である秘密は、最新式のスキャナーにある。一般のスキャナーは1度に1枚の書類しかスキャンできないが、ScanSnap(S1500)であれば、FAXのように連続50枚の書類をスキャンでき、しかも1分あたり20ページの処理速度である。自動画素設定方式によって、紙の大きさから最適な画素を選択することも可能だ。煩わしいスキャン作業が、簡単で迅速に行われる。
「書籍スキャン」サービスは価格が安く、複雑な利用手続きも不要だが、全ての本についてこのサービスを利用することはできない。例えば、雑誌はページが静電気を発生させるので、スキャンに適していない。辞典、電話帳など、紙が薄いものも利用できない。専用スキャナーは、写真集や写真などの光沢のある紙も処理できない。機械の構造の問題のため、これらの印刷物のサービスコストを下げることはできないので、現在のところ低価格でこのサービスが利用可能な書籍は限られている。
この他、注意しなければならないことは、装丁された本は裁断しなければスキャンできないということである。したがって、電子書籍と元の本の両方を手に入れることはできない。家の本棚に眠っている蔵書を全て、わずかな重量の電子書籍に変換した時、充実感、そして喪失感がいかほどのものになるかは自分で試してみなければ分からない。(樋田桂一提供)