株式会社カヤック(本社:神奈川県鎌倉市)は、ウェブ技術を使って斬新で面白いプロジェクトを次々に打ち出し、世間の注目を集めてきたウェブ製作会社である。サイコロを振って出た数字をパーセントとして基本給に掛け合わせた金額が配給される「サイコロ給」や、最優秀プロジェクト賞を受賞した場合にボーナスが大きくアップする「スマイル給」の導入、自分の業績を自分で会社に申告するなど、カヤックが採用しているユーモア溢れる従業員褒賞制度は、楽しい話題として日本中に広がっている。
カヤックは2005年に株式会社となって以降、Yahoo!JAPANのWEB APIコンテスト、カンヌ国際広告祭、東京インタラクティブ・アド・アワード、グッドデザイン賞などの国内外の有名なイベントで多くの賞を受賞している。今やカヤックと言えば、「クリエイティブ」という言葉が自然と浮かぶほどである。
このカヤックが、去年の12月27日から「BM11プロジェクト」の268のウェブサービスをネット上で公開販売している。カヤックは「量が質を生む」を社訓とし、BM11プロジェクトもそこから生まれたものである。初年度には77、次の年度には88、2009年には99の製作目標を達成し、3年前に創業した時の計画の通りに、「BM11プロジェクト」の268のプロジェクトをすべて販売するということもまた、カヤックのビジネスモデルの一つである。また「BM11」の解散を記念して、プロジェクトの価格は非常に安く設定されている。
今回販売されるものの中には、ウェブサービス、iPhoneアプリ、携帯ゲーム、オープンソースのプロジェクトなどが含まれる。価格は5万円から数千万円まで様々で、売却譲渡が基本である。例えば、2009年のmixi携帯アプリの「キミの執事」は100万円、Twitterを使ったサッカー実況「Sportsuda」は250万円、携帯GPSシステムを使ったゲーム「しらべる」が5000万円である。商談中のものもあるし、まだ価格が決まっていないものもある。販売条件は交渉次第だそうだ。
BM11プロジェクトは、起業が目的の個人でも、営利目的の企業でも買うことができる。BM11プロジェクトだけでなく、カヤック自身にも価格が設定されており、企業を進化させてくれるなら、いつでも売却するとのことだ。BM11プロジェクトは解散となるが、今後もカヤックの、「量が質を生む」という基本方針は変わることがない。(樋田桂一提供)