公共交通機関で旅をすると時間通りに目的地に着くことができ、移動の間、自分で運転する必要がないので疲れを軽減できるが、その反面時間に縛られるため旅の自由度に限界があり、「乗車時間によって中断される」観光になりがちだ。中断時間は観光する時間の長さにも直接影響する。一方、車中泊旅行の最大の利点は、自分の都合で出発時間を決められるということであり、心の赴くままに旅行を楽しむことができる。また車中泊にすると移動の効率もよくなる。それがおそらく車中泊旅行の最大の魅力だろう。
車中泊旅行では、宿泊費が安く上がることも魅力の一つだ。「道の駅」(休憩所)や高速道路のサービスエリアを利用すれば宿泊費はいらない。郊外のキャンピング場を利用しても安く上がる。安いと言っても、快適に眠れるとはあまり言えないのだが、心の準備さえしておけば、魅力的な旅行法の一つと言えるだろう。車中泊旅行にはいいところもあるが、悪いところもある。キャンピングカーを除くと、多くの自動車は宿泊するように設計されていないのである。
現在の車種の中で、大部分の自家用車は安全かつ迅速に、省エネで走行するために設計されている。このような普通の車に宿泊したら、あまり快適に眠ることはできないだろう。例えば、疲労を軽減するために設計された座席は、体の曲線と合うようになっており、背もたれを倒して寝ようとするとでこぼこしていて寝にくくなる。省エネ設計の流線型の車体は、後部の曲線の多くが荷物を入れる場所として設計されており、車内が狭く感じられる。これらの不便な点は改善する必要があるが、改善したとしても家やホテルほどには快適にならない。
車中泊旅行は、天候の影響も受ける。季節によっては車中泊の環境が非常に厳しくなることもあり、冬はとても寒く、夏は熱中症になりかねない。天気が極度に悪い時は車中泊をあきらめることも考えるべきだ。キャンピングカーを除けば、一般の自動車にはトイレがついていないので、必ずトイレのある場所を選ばなければならない。キャンプ場や高速道路のサービスエリアのトイレは一般に清潔だが、時々トイレットペーパーがなくなっていることがある。
「道の駅」や高速道路のサービスエリアなど不特定多数の人が出入りする場所では、さらに防犯も考えなければならない。公共の場所なので、誰でも利用でき、夜間には怪しい人も集まりやすい。危険を感じたら、ためらわずに場所を変えるのが最も安全だ。準備して心配を取り除き、さらに十分な心の準備をしておけば、みなさんも車中泊旅行をきっと楽しめることだろう。(緋梨執筆)