東京の代表的な観光名所浅草に、とてもユーモラスでかわいらしいバスが走っている。その名も、パンダバス「ニンニン」。浅草界隈の観光名所を巡回する無料バスである。
パンダをかたどってあるこのバス、「となりのトトロ」に出てくるネコバスのようである。まゆ毛の部分がワイパーになっており、バスの天井からは大きなハンドルが突き出ている。なぜ浅草なのにパンダか?と言うと、花やしきの人気遊具、パンダカーが由来らしい。花やしきの前を通ると、そこのアトラクションと勘違いしてしまう人も多いとか。
浅草と一言でいっても見所は点在しており、かなり広範囲である。休日になると、人が多くて歩くだけでも疲れるだろう。そんなとき、パンダバスはとても便利である。隅田川沿いの水上バス乗り場から二天門、招き猫の発祥地として有名な今戸神社、花やしき、浅草ROX、そして雷門など、約40分のルートを1時間に1〜2本のペースで運行している。
先日、雨の中を浅草観光した際、今戸神社の前でちょうどパンダバスが通りかかり、乗ることにした。浅草駅まで雨の中を歩こうとしていたので、ラッキーだった。 下町情緒あふれる路地を、走っていくパンダバス。その風情を乗客に楽しませるためか、あえてゆっくり走っている。通称「観音裏」と呼ばれる一帯を通り、花やしき前に到着。道行く人が、その可愛らしさゆえにパンダバスをカメラや携帯で撮ろうとする。通りすがりの子供も乗りたがっているようだ。浅草ROXを過ぎて、東京本願寺、かっぱ橋道具街、そして仏壇・仏具の店が数多く点在する田原町駅前で降りた。ほんの20分ぐらいの乗車だが、これだけでも凝縮された浅草を楽しむことができた。
つい最近、2010年中に上野公園にパンダがもどってくるというニュースがあった。それに併せて、「もう一匹のパンダ」として、このバスも人気が出てくるかもしれない。 (亜遊民執筆)
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