桜が満開の季節になった。街の女性たちは軽やかにレースやシフォンのスカートを身につけて、楽しそうに連れ立って歩き、その姿は春らしい東京に美しさと活力をもたらしている。これで手にしたコーヒーカップから白い湯気が上がっていなければ、目の前の情景を見ても、4月初旬の空気にはまだ寒さが残っていることを忘れてしまうだろう。 しかし女性たちは、気温の上がるのを待ちきれずに早々と春の装いをしているというわけではない。今や、軽く柔らかいシフォンのスカートは、一年中クローゼットに入れておくべき必需品であり、ショップでも年間を通してそのかわいらしい姿を見ることができるのだ。春夏秋冬いつでも、晴れても雨でも雪でも、東京の街を歩けばシフォンスカートに出会える。そして女性たちは、美しさのために寒さを我慢しているというわけでもない。服をうまく組み合わせることによって、寒さから身を守るだけでなく、シフォンスカートに季節に合った温かさももたらしているのだ。寒い冬には、ファーやブーツを合わせて保温すると同時に、シフォンスカートの甘さを抑え、セクシーで個性的な美しさを加える。早春になると、黒のレギンスが必需品だ。そこに短めのGジャンを加えれば、突然の冷気にも対抗できるし、清潔で新鮮な印象を与えることもできる。 シフォンスカートのように、すでに当たり前になってしまったものだけでなく、高度な組み合わせによるファッションが豊富な想像力から生まれて、「季節感のないファッション」は極限まで進んでいる。ファー+ミニスカート+サンダル、あるいはサングラス+Tシャツ+ショートパンツ+ブーツなど、これは一体どういう季節感なのだろうか?編んだバッグにモコモコをあしらったものや、足の指が出たブーツ、厚いニットのマイクロミニのショートパンツ、これらはいつ身につけるべきなのだろうか? 女性たち自身が作り出したと言えるのかどうかもよくわからないこのファッションが、今では全国に広がっている。ある調査によれば、10年前に比べて日本のショップの夏物バーゲンは7月から5月に早まっているそうで、このことが消費に対する刺激になっており、季節感のない服装への需要の裏づけともなっているようなのだ。今月のファッション雑誌の表紙を十数年前と比較してみると、モデルの服装も明らかにずっと薄手のものになっている。 季節感のない服装が大いに流行している原因については、女性たちの美に対する追求だけでなく、ファッション業界が新しい技術で保温機能や清涼感のある素材を常に開発しているために、服装に対する温度の制約が次第に少なくなっているということもあるようだ。また、これは非常に重要な点だが、東京の発達した地下鉄路線によって、外出しても外をあまり歩かずに済み、いつも春のように暖かくはなくても、屋内の空調によって快適な環境にいられるようになり、ファッションの選択もますます自由になっているのである。(小林和久提供)
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