ニキ・ド・サンファル回顧展
ニキ・ド・サンファル(Niki de Saint Phalle)というアーティストはパリのポンピドーセンターの前のど派手なインスタレーションで有名だ。
本名はCatherine Marie-Agnes Fal de Saint Phalleという由緒正しそうなお名前。女優をしていて、美術関連の教育は受けていなかったそうだ。25歳の頃、マドリッドを旅行してガウディの建築「理想宮殿」に出会い、神の啓示のごとく自分の製作の未来を予感し突如1957年に絵を描き始め、自分の彫刻公園の設計を決心するというから天才は違う。絵といっても、絵の具の袋を埋め込んだ石膏レリーフを本物のライフルで撃ち、絵の具を飛び散らせて仕上げるというシュールな手法の「射撃絵画」。しかし見ているとパワフルで、しかも一貫したスタイルを持ち、絵画でも彫刻でもオブジェでも、一目見れば彼女の作品とわかるアイデンティティを確立していた。2002年に亡くなって以降日本初の回顧展が2006年5月11日(木) から22日(月) まで東京八重洲の大丸ミュージアムで開かれた。20世紀の現代アートの旗手はすでにスタンダードとなっている。
栃木の那須高原にはニキ美術館があり、いつでもこの芸術家の世界に浸ることができる。(西岡珠実執筆) |