日、中、韓流行色の影響力
去る11月9日、東京のお台場で開催されたアジアカラーフォーラムで、日本、中国、韓国それぞれのファッションにおけるベーシックカラーが発表された。
ベーシックカラーとは、流行色を引き立てるという重要な役割をもち、また季節や流行にとらわれずいつでも多くの人に好まれる色だという。例えば今年の流行色が紫だとすると、紫色のコートを身にまとった人や街を走る車などが目につくようになる。しかし、意外にも流行色のような目立つ色はほんの一部。多くを占めているのはベーシックカラーと呼ばれる「定番の色」であったりするのだ。
3カ国のベーシックカラーを比較してみると明らかな違いに気づく。白、黒、ベージュなどの落ち着きのある色は共通しているが、中国と韓国にはさらに鮮やかな赤が加わる。それは、中国の祭事に見られる赤と、韓国のキムチの赤、つまり伝統や日常が人の色彩感覚に深く影響している結果だという。日本の場合は桜のようなピンクが含まれているのだ。
このように色は人の生活と密接な関係があり、その国の文化を物語るものといえるだろう。
昨今、社会に与える色の影響力が大きくなっている。例えば、以前は機能性のほうが重視されていたテレビや車も、色を始めとするデザインが求められるようになった。口紅ひとつとってもカラーのバリエーションは増すばかりだ。消費者が好むような色を予測し、商品を作り興味を引き出す。逆に、消費者が販売戦略を意識して商品をみるのも面白いのかもしれない。このように、色はひとつのマーケティングツールとして大きな役割を果たすようになってきているのだ。 (永井亜希執筆) |