上海灘、銀座に登場
今年10月、東京銀座の西 5 番街通りに新しいショップがオープンした。店の名前も、その店構えも、日本人をあっと驚かせるものだった。その名は「上海灘」。
そう、あの「上海灘」である。この香港の有名な高級衣料雑貨店は、今までにニューヨーク、ロンドン、ホノルル、バンコク、パリ、シンガポール、北京、上海などに支店を開いてきたが、今回ついに東京に上陸することになったのである。
伝統的な中国の服飾に現代風のデザインを施す。これが「上海灘」ブランドの成功の秘訣である。 20世紀初頭の上海は、「魔都」と呼ばれる国際都市だった。そのイメージを基調として、銀座の上海灘は 2フロアのショップの内装を黒で統一し、一階は婦人用品を中心に、ハンドバッグ、傘、腕時計、服飾、および子供服などを、二階は紳士用品を中心に、食器、寝間着、枕カバーなどをそろえて、豊富な商品展開を行なっている。店内には緑やピンクなどの色鮮やかな商品が並び、「上海灘」という名前どおりの雰囲気を生き生きとかもし出している。
特に人気があるのは「諸行無常」シリーズだ。セーター、マフラーなどの上に大きく四つの文字が刺繍されており、着れば着るほどオフタイムのイメージにぴったりだと感じられる。日常生活でストレスを感じている日本人の心身をリラックスさせてくれる商品だといえるだろう。また、乾隆帝の画像がプリントされた雨傘は、周囲が黒地に朱印、中には黄色地に生き生きした人物像が描かれており、たいへんモダンである。
日本のたくさんの「香港マニア」にとっては、わざわざ香港まで行かなければ手に入らない「上海灘」の製品が、すぐ目の前で簡単に買えるようになったことは、なにかつまらないような気分になったかもしれない。だが「誘惑」に負けてすぐに買いたくなるような商品が本当に多いのだ。世界がますます狭くなり、国と国の違いもなくなりつつあるということに、むしろほっとさせられるところもある。
「上海灘」銀座店の開店には、国際派俳優の渡辺謙や人気者の南野陽子からもお祝いの花が届けられた。「上海灘」の人気がこれからますます高まるように願っている。 (河上晃一郎提供) |