エリート現役高校生に科学技術の最先端教育を
「格差」という言葉が昨今のキーワードになっている。地域格差、賃金格差から、負け組・勝ち組などという言葉まで登場し、社会の中のあらゆる格差の是非が問われているようだ。仕事の量と質によって適正な報酬を、という意見と、実力を発揮する機会の均等がなければ報酬格差は不公平だという意見。格差の是正か悪平等の是正か。様々な意見が飛び交う中、教育の差別化・特化を目指す動きが出てきた。
日本の教育水準は世界の中で低下しつつあるという。テレビやゲームなど安易で受動的な娯楽が増え、自分の頭で考えることが減っている。少子化によって将来の労働力の量が低下する中、頭脳集団の質まで低下して行くとなれば日本の国力の弱化は避けられまい。国土が狭く、資源の乏しい日本の国が発展し我々国民の生活が豊かになるためには、頭脳労働による物づくりしかありえない。
優秀な人材を育成するために、大学と企業が連携する産学協同という試みはあるが、さらに年齢を下げて、高校生の理系離れをくいとめる教育サービスが始まった。大学と現役高校生対象塾の連携である。東京と神奈川を拠点に展開する早稲田塾が、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスと東京工業大学との共同で生命科学、ロボット光学、 IT技術の研究に現役高校生を参加させるプロジェクトを立ち上げた。「スーパーサイエンスプログラム」「スーパーロボティクスプログラム」「スーパー IT プログラム」。塾が大学教授に特別授業を依頼するのは珍しくないが、このプロジェクトの画期的な事は、塾生以外にも門戸を開放して一般公募による試験選抜をすることと、受講料が無料であること、大学での学問領域を先取りする基礎講義を大学キャンパスや研究施設で開講することだ。いうなればエリート高校生へのプレエデュケーション。日本の未来が見えてくるだろうか、注目に値する。 ( Cross-border Coordintor 執筆) |