男性トイレを清潔に
関西国際空港の男性トイレでは、小便器の中に3cmの「的」型シールが貼ってある。これは、的があるとつい狙いたくなる人間の心理をたくみに利用して、トイレの美化効果を上げたものだ。この空港では、毎年12億5千万円の清掃費用がかかっていたが、すべての小便器に計3000枚のシールを貼るのには6万5千円しかかからず、少ない費用で効果は高い優れものなのである。
こうした「的」を利用する方法は、オランダでも大成功したそうだ。日本でよく利用されている場所は、小学校などの教育機関や美術館などの施設である。トイレや浴室などの設備メーカーである東陶機器(TOTO)では、「ターゲットマーク」「ハエ」「サッカーボール」「炎のマーク」などの変わったシールをデザインしている。通常の小便器の場合、1万円を追加すれば陶器の便器に直接デザインを焼きつけて半永久的に使用できるようにすることも可能だ。
もちろん「的」を貼り付ける以外にも、小便器本体の開口部を広げる(より近くに立てるようになる)、防臭加工をする(心穏やかに用を足せる)などの設計上の開発や改善も行われている。我々の知らないところで、トイレも静かに進化を遂げているのである。 (本記事は雑誌「R25」の記事を元にリライトした)
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