IT での新ワークスタイル
大きなガラスの扉を開けると、真っ白な壁に飾られた色鮮やかな花の絵と自動演奏のピアノが目に飛び込む。一瞬パリの画廊かカフェにいるような錯覚を覚えるのは、アラヤ本社オフィス(東京都目黒区)だ。同社はこの春、創立三年目を迎える翻訳会社である。
インテリアコーディネーター齋藤志乃氏が意識したのは、創造力をかきたて、かつ安らげる空間。決して広くはないが、社員の表情は生き生きとして明るい。彼らの向かうパソコンにはキリル文字など見慣れない文字がびっしり。同社のオフィスからは、日本有数の家電メーカーなどの海外向け製品マニュアルなどが次々と生み出されている。
アラヤの翻訳者と校正者は、世界各地に散らばっている。無料インターネット電話ソフト「スカイプ」の導入で、国内だけではなく海外で働く社外スタッフとも、隣の席にいるかのようにリアルタイムでコミュニケーションをとることが可能となった。
オフィスの片隅に並んだ日本、ニューヨーク、そして支社のあるドイツの時間を示す時計は、代官山の小さなオフィスがグローバルなビジネスシーンへと広がっていることを物語っている。 (永井亜希執筆・撮影)
(「日本経済新聞」 2006 年 1 月 30 日により)
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