大海からの贈り物
洋々たる海に囲まれた日本は、海岸線の全長が約3300キロにも及び、黒潮、対馬海流、千島海流などに乗って、古くからいろいろな漂着物が絶え間なく流れ着いている。
1898年、伊良湖の海で椰子の実を拾った柳田国男がふと何ともいえない感動を覚え、そのことから、「名も知らぬ遠き島より、流れ寄る椰子の実一つ」と歌い、日本情緒に溢れる「椰子の実」の歌が生まれたと言われている。
あっという間に全世界にニュースが伝わる情報化時代になっても、悠々と水が行きかう海上の道は柳田の時代と少しも変わらない。海からやってくる「漂着物」には、実にさまざまな情報がこめられているのだ。環境問題、民俗学、自然科学、文字の創造、芸術などの視点からそれらを見るために、2001年11月、日本に「漂着物学会(Japan Driftological Society)」が誕生した。
巨大な流木、神仏像、手紙が入ったガラス瓶、ライター、玩具などが丁寧に収集され、展示されており、それらについての研究論文も次々に発表されている。
漂着物はわれわれにたくさんのことを教えてくれる。興味のある方は、是非「漂着物学会」のサイトを訪れてみてほしい。きっと思いがけない発見があるはずだ。 (河上晃一郎提供) |