「意見カード」と「ベストセラー」
今ネットでホットな話題になっている「生協の白石さん」をご存知だろうか?白石さんは元々、東京農工大学生活共同組合の職員である。日本の多くの大学には、生活共同組合の掲示板があり、そこには大学生から寄せられた意見が貼ってある。例えば、「○○の販売を増やしてほしい。」などと書くわけである。そうした学生たちの「意見カード」に対して、大いなる情熱をもって真剣な回答を返し、どんなに奇妙な質問でも変わらぬ態度で対応する白石さんは、生協の中でも異彩を放ち、たいへんな注目を浴びている。
例えば、こんな意見カードがある。「愛は売っていないのですか?」
白石さんの答はこうだ。「どうやら、愛は非売品のようです。もしどこかで販売していたとしたら、それは何かの罠かと思われます。くれぐれもご注意ください。」
彼の答があまり面白いので、学生たちは今年の 3 月からネット上でこれらの やりとり を公開し、白石さんの知名度は一気に高まった。今年 5 月、「がんばれ!生協の白石さん」というブログが公開され、人気ブログランキングの「大学生部門」で一位となった。さらに今月 2 日、講談社から単行本「生協の白石さん」が出版された。ごく普通の生協の意見カードが、日本全国で人気を集める一冊の本になってしまったのだ。ネット社会の今日、誰もが一瞬のうちに知名人になることも可能になったのかもしれない。
最初これらの回答を読んで、多くの人が白石さんに対して和服を着た女性のイメージを抱いていた。だが現実には、白石さんはたいへん誠実で仕事もてきぱきとした上司に重用されている男性らしい。 |