「少女」と「老女」の間
しわだらけの顔に過ぎし日への想いを浮かべる芸妓、青年のバイクのサイドカーに乗ってタバコを吸いながらアメリカを横断する女性、大洪水の後で人類の終わりを見守る老予言者……「マイ・グランドマザー」と名づけられたこれらの不思議な大型写真作品は、実はみな若々しい女性たちが50年後の自分を想像して扮装している姿なのである。撮影したのは京都在住の女性芸術家、やなぎ みわ。作品を通して彼らの真実の姿を表現しようとしている。
1993年、やなぎ みわはカメラ撮影にCGによる合成を加えて、「エレベーターガール」シリーズを創作し、人間性が閉鎖された現代空間をあますところなく描き、国内外の反響を呼んだ。その後、10代から30代のモデルたちと話をしていて、彼女たちがそれぞれ変わった願望を持っているのを知り、ネットで「50年後のおばあさんを一緒に創ろう」と呼びかけたところ、たくさんの女性からメールが届いた。そこでやなぎは彼女たち一人一人と面談を行って、彼女たちの過去の魂の傷と向かい合うことになった。こうして、カメラマンとモデルたちの心のふれあいから、今までになかった芸術の境地が開かれたのだ。
50年後のグランドマザーたちは、社会の価値観から見て決して愛すべき老女ではないが、女性たちが自分をしっかり見つめたところから生まれている。「マイ・グランドマザー」が再度日本で大きな反響を巻き起こした後、やなぎの展覧会がドイツ、フランス、韓国、上海、台北で行われた。やなぎはさらに現実の年配の女性たちが自分の祖母を語るビデオ作品を撮影した。
少女から老女への人生の道を探って、生きることの淵源と真実を捜し求める。これこそが、独特のスタイルを持つ芸術家、やなぎ みわが永遠に追求し続けるものなのである。
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