受刑者に捧げる歌
2002年3月から日本全国の刑務所や少年院で「Prisonコンサート」を開き、去年12月には法務大臣に表彰された「受刑者のアイドル」と呼ばれる女性二人のユニット「Paix2(ペペ)」は、今までにこの種のコンサートを138回も行ってきた。
「Paix」とはフランス語で「平和」という意味である。メンバーの一人、鳥取県出身のMANAMI(北尾真奈美)は、かつて岡山大学固体地球研究センターで働いていた。またもう一人のMEGUMI(井勝めぐみ)は、元倉吉市の病院の看護師だった。彼女たちは2001年にデビューした後、「鳥取警察署一日署長」を務めたことをきっかけに刑務所慰問コンサートを始めることになった。これは簡単そうに見えて、実はたいへんな仕事である。しかし二人は、芸能界を引退する日までこのボランティア活動をけっしてやめないと誓っている。
通常、ステージは1時間半で、前半は受刑者が生まれ変わって生きていけるように励ます歌を歌い、後半はMEGUMIが看護師時代に体験したたくさんの患者の死の瞬間について語る。「人が死ぬときはいろいろだけど、生きていることがいちばん重要。」こんな話の合間に、受刑者の家族の手紙が読まれる。90%以上の受刑者が涙を流して聞いている。
講談社では、以前彼女たちの活動を漫画にして出版した。「私たちの歌声によって、一人でも多くの人が元気に社会復帰してほしい。」そんな純真な願いをこめて、「Paix2」の二人はこれからも全国の刑務所や少年院を訪問し続ける。 |