中村俊輔・四年越しの思い
2006年ワールドカップサッカー日本代表最強の武器は、中村俊輔の左足から放たれるFKだ。ボールは美しい弧を描いて、相手のDFの人垣を越えてゴールに入る。実は中村のサッカー人生も、この弧のように紆余曲折を経ている。
子供の頃から「天才」と言われた中村だが、これまでに何度も壁にぶち当たってきた。早くからそのテクニックが注目されてJリーグ横浜のジュニアユースに入ったが、身長が伸びなかったためチームに残ることができなかった。19歳の時にはアピールする機会もないままに、当時人気の小野伸二との対比で代表選手に落選した。2002年には、誰もが認める、チームに不可欠な選手に成長していたが、監督との相性が悪く、最終的に代表選手には選ばれず、日本中をがっかりさせた。そのとき、 100 人あまりの報道陣に囲まれて、中村は誓った。「ワールドカップを経験した人よりも強くなっていたい。出なくてよかったと言えるように、次の4年間は努力したい。」
5月15日は、彼にとって特別な日になった。中村は、ついに23名の代表選手の一人に選ばれたのだ。「イタリアからスコットランドまで、すべての努力は無駄ではなかった!」天性の素質に加えて、一人の選手として彼のテクニックは日を追って成熟している。それによって彼は自信をつけ、ついに機が熟したのだ。
4年間待ったチャンスが、とうとう巡ってきた。背番号10をつけた中村は、「初めてのワールドカップ参加で、日本チームの中で特別な存在になるようがんばる。」と心に誓う。これが27歳の中村の覚悟であり、彼に期待するすべてのファンに対する暗黙の約束なのだ。 |