電池で有人飛行
夜明け前の空に巨大な青い翼が飛び立つ。本メルマガが追跡報道してきた松下電器産業と東京工業大学共同の試み、乾電池を使って有人飛行を行うプロジェクトは、7月16日の朝5時、埼玉県桶川市で行われた。
日本航空協会が規定している飛行の公式記録認定を得るには、傾斜のない場所で電池だけの推進力で離陸しなければならず、飛行には2mの高度が必要となる。
前日は強い横風と機体の故障のために飛行が中止されており、この日は失敗するわけにはいかなかった。最初はやはり強風に見舞われて機体は直進することができなかったが、態勢を整えて再度試みたところ、下がっていた翼が突然持ち上がり、一緒に走っていた学生たちの「行け!」という叫び声と共に、人の乗った31メートルの翼の飛行機がついに離陸した。2.1メートルの高度まで上がり、順調に約300メートルを飛行した。二回目の飛行では、機体高度が6.11メートルまで上がったほか、飛行距離も391.4メートルに伸び、大成功を収めた。最後に公式記録外であるが、電池を160個から96個に減らして人による初動介助つきで269.3メートルを飛んだ。
この人類飛行史上の壮挙を記念して、7月31日から8月6日まで、JR東京駅では実験機体の実物が展示され、今回のプロジェクトを記録したビデオや松下電器のCMが放映された。JR東日本のSuicaと携帯電話を使って広告関連情報を受信できる新技術「SuiPo」の初のトライアルは、この乾電池による有人飛行プロジェクトに関する情報であった。人々を今回のプロジェクト関連サイトに案内し、すばらしい広告効果をあげた。 |