トイカメラへの逆行ブーム
近年カメラの性能は日進月歩で発達しており、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話を使って誰でもきれいな写真が撮れる時代になった。だが日本では最近、高水準のカメラとは逆行するブームが起こっている。それは、画面がややぼんやりして写る、働きが単純な 「トイカメラ」の流行である。去年の年末から若者の間で大人気なのである。
トイカメラは画素10万〜30万で液晶もなく、基本的にストロボも記録媒体も持たない。だが価格が安く、びっくりするほど小型だったり、あるいは思いがけないデザインだったりして、見ているだけでもなかなかおもしろい。玩具なので理想的な写真を撮ることは期待できないが、失敗作の中から偶然に面白さを発見することこそ、トイカメラの人気の理由なのである。
気に入ったトイカメラが見つかって周囲の人に見せると、10人中9人が「かわいい!」「これで写真が撮れるの?」と言う。トイカメラを手に入れると、子どものような満足感が得られる。いつでもどこでも持ち歩け、人間を撮るときには、カメラの外観が被写体の緊張を解いてくれる。自分のサイトがあれば、失敗した写真に加工やデザインをほどこして公開するのもなかなか楽しい。
現在50種あまりのトイカメラが日本の市場に出回っており、これまで毎月数千台が売れているが、去年の12月には販売量が一気に数万台にはねあがった。渋谷のあるトイカメラ店には、SMAPの香取慎吾も買いに来たそうだ。
トイカメラはほとんどが1万円以下で、 ちょっと高級ではあるがデジカメとしては非常に安い玩具であると言える。一台買ってみては どうだろう?友達へのプレゼントにも最適だ。ふだんは写真に興味がない人も、きっと夢中になるだろう。 (中嶌重富提供) |