片山右京の新たなる挑戦
てんぷら油で自動車を動かすという、興味深い環境保護の実験が行われている。
てんぷらは、日本人だけでなく外国人も、皆そのおいしさに感動する。だが、日本国内で毎年使用されたあと廃棄されるてんぷら油が60万トンにもなることを知る人は少ない。今、この廃油を精製してBDF(バイオディーゼル燃料)として再利用する実験が行われている。そのうち比較的成功している例としては、京都府のゴミ収集車が100%BDFを使用して運行していることが挙げられる。
最近、レーサーの片山右京がてんぷら油をレースカーに用いて、最も長く辛いダカールラリー(パリ・ダカ)に挑戦することを決めた。片山右京はF1引退後、登山家に転身し、毎年ヒマラヤ登山を行っているが、登山で自然環境の激しい変化を目にしたことで環境保護に対する強い意識を持つようになった。そして彼の環境への憂慮に対して、大阪トヨタ自動車、BDFメーカー、大阪産業大学などが共鳴し、学生も加えた開発グループが組織され、来年1月にパリ・ダカに参加して、アフリカの砂漠など九千キロにわたる長距離レースに世界で初めてBDFを使用するという試みを行うことが決定されたのだ。
すでに今年8月、タイで行われたアジアクロスカントリーレースでBDF車の試運転が行われ、なかなかの効果を上げている。このBDF車、馬力は申し分なかったが、一つ残念だったのは「車内にてんぷら油の匂いが充満する」ということであった。片山右京はみずから作成したレースの三年計画において、一年目の目標として全行程を走りぬくことを挙げ、最終的には優勝を狙うとしている。
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