空飛ぶ自動車
ドライバーの最大の敵は渋滞である。もし車が空を飛べたならどんなにいいだろう。誰もが考えるこんな夢がもうすぐ現実になろうとしている。
岐阜県の川崎重工の元設計士、三橋清通氏は、 1997 年に「 MV (ミラクルビークル)調査開発特別研究会」を発足させ、空を飛ぶことができる車輌の開発に着手した。「現在の自動車エンジンは重過ぎますが、軽量モーターを使用すれば道路を走る飛行機を作ることができる」この考えに基づいて三橋氏の挑戦が始まった。
道路を走るためには車幅が 2.5 メートル以内でなければならない。最小でも 9 メートル必要な翼をどこまで縮めることができるだろうか?三橋氏は鳥の翼からインスピレーションを得、大きな翼を折りたたんで小さくする翼を設計した。その結果、翼を広げたときは 6 メートル、折りたたんだときは高さ 2.7 メートル幅 2 メートル以下にまで小さくすることができた。
2002 年実物の三分の一のサイズの模型が完成し、実験飛行が行われたが、思いがけない強風だった上に操作ミスが重なり墜落してしまった。しかし三橋氏は四ヶ月後、軽量化して飛行実験を行いついに成功を収めた。
MV は 300 メートルの滑走路があれば飛ぶことができ、道路上での時速は 50 キロメートルに設定されている。実物大の模型も完成しており、十分な資金さえ調達できれば実機の製作を行えるところまで来た。
またパイロットの糸川裕志氏は、ジェットエンジンの構造を改造することによって空飛ぶ自動車の構想を現実化しようとしている。多数の回転機を並列させる構造によってエンジンの重量を軽減し、自動車が垂直上昇しても車体の安定を保つことができる。
三橋氏と糸川氏の努力によって日本と欧米の差は縮まっている。近い将来、本当の空飛ぶ自動車を目にすることができるに違いない。(河上晃一郎提供) |