男前豆腐誕生物語
「男前豆腐」「風に吹かれて豆腐屋ジョニー」「やっこ野郎」……最近、ブログで人気沸騰の「男前豆腐」が、本来は地味な存在であるはずのスーパーの豆腐コーナーをにぎやかに彩っている。このびっくりするような豆腐を製造しているのは、茨城県の「三和豆友食品」である。これらの一風変わった名前の豆腐によって、年間売上高は50億円に達している。
日本の豆腐業界の価格競争はたいへん激しく、今までの「3丁100円」といった安売り方式では顧客を引き寄せられなくなっている。そこで三和豆友食品の36歳の伊藤信吾常務は、まず豆腐の伝統的な四角形を脱却することから着手し、豆腐を細長い形や琵琶のような形のプラスチック容器に入れた。そしてそれらの商品に「男前豆腐」という名前をつけたのである。最初はどのスーパーもあまり受け入れたがらなかったが、イトーヨーカドーだけが積極的に販売を進め、意外なことに大人気となった。それが口コミで次々広がり、多くの店が相次いで取り扱いを決め、その結果「男前豆腐」は売り上げが一日2万個になってしまったのだ。
もちろん豆腐の名前と形に凝るだけではなく、理想的な大豆を求めて北海道まで視察に行き、豆腐の容器(水を入れた二層構造)や充填する水(沖縄の海洋深海水)にも工夫を重ねて、ついに「男前豆腐」を大成功に導いたのであった。
去年の3月、「男前豆腐株式会社」が正式に独立し、伊藤信吾氏は社長に就任した。7月には神戸に専門店舗を開設した。豆腐の新しいブランドが、ビジネス成功の新たなるページを開くこととなった。 |