八十年代の復興
「ぜんぜん恥ずかしくないよ。すごくかっこいいと思う。」渋谷でショッピングを楽しむ恭子(23歳)が言った。彼女の服装はかなり大胆だ。右肩を露出し、おへそも見せ、首からはネックレスを4、5本じゃらじゃら垂らして、まるで十数年前のアメリカ映画の中のファッションである。
最近、原宿や渋谷で、80年代に流行したファッションが復活している。最大の特徴は、原色が中心で、図案がはっきりしていて、大きなイヤリングやワイドなベルトをして、奔放な雰囲気を出していることである。当時流行を引っ張っていたのは、マドンナを代表とする人気歌手たちであったが、今80年代のファッションブーム復興の先頭を走っているのは、浜崎あゆみを初めとする21世紀の人気歌手たちである。
ファッションばかりでなく、他のジャンルでも明らかな「復古」傾向が見られる。
i−modeの携帯ソフト「i−application」の「PAGUman」、大瀧詠一の音楽CD「A LONG VACATION」、映画「LOVE SONG」に使われた尾崎豊の歌、マドンナの再流行、漫画「筋肉マンU世」、「北斗の拳」などなど、どれもが80年代の雰囲気を伝えている。
80年代と言えば、今の若者たちの幼稚園時代であり、彼らが人生で初めて出会ったものが20年後に再び呼び起こされているわけで、これがおそらく80年代復興の根本的な原因だろう。だが、もう一つの原因が考えられる。現代社会と80年代初期には、不景気から経済回復への転換という類似点があるのだ。そう考えてみると、80年代の流行の復活は、なかなかいい予兆と言えるのかもしれない。(本文は雑誌「AERA」の文章をリライトした)
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