美しい景観を取り戻そう
最近、東京の日本橋の上を横切る首都高速道路の高架橋を撤去しようという話が持ち上がっている。この高架橋は40年あまり前の東京オリンピックを目前にして採られた苦肉の策で、その結果、東京で最も日本的な情緒に溢れた歴史的景観が破壊されてしまったのであった。
去年の12月、「悪い景観100景」というサイトで、70ヶ所の「悪い景観」が写真つきで紹介された。主要駅の付近に林立する看板や広告、美しい海の景色を遮って建てられた海辺の壁のような高層マンション、歩道の上になびくたくさんの広告のぼり、ぎっしり並んだ自動販売機……早稲田大学特命教授の伊藤滋氏を中心として、12名の建築、土木、照明、造園などの分野の専門家からなる、自称「12人の怒れる男女」が、2004年12月の「景観法」実施を機に「美しい景観を創る会」を結成した。このサイトは、彼らの心からの声を伝えたものである。
電線を地下に埋めるだけで、都市の醜い景観の半分は減少する。屋外広告をできるだけ少なくして、並木道の植樹を増やせば、70%の都市景観は改善する。会員たちは、無報酬でこのボランティア活動に参加し、各部門との意思の疎通を通じて、様々な効果的な改善案を提出し、日本の美しい景観を取り戻すためにたゆまぬ努力を重ねている。
銀座の中心地域の建築物の高さ制限(56メートル)、京都の嵐山のNTT DOCOMOの鉄塔撤去など、環境問題は日本社会でますます重視されてきている。「美しい景観を創る会」の努力は注目に値する。(本文は、雑誌「ダカーポ」の関連する文章をリライトした)
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