歌舞伎映画の誕生
松竹映画では現在、歌舞伎の舞台作品を高性能デジタルカメラで撮影し、日本全国各地の映画館で上映している。これは、今まで歌舞伎鑑賞が難しかった地方や国外に歌舞伎ファンを増やそうという企画であり、低価格で上映可能なデジタル映画市場における新しい試みでもある。
歌舞伎を撮影して映画にすれば、俳優の表情や動作をじっくり楽しむことができる。これは舞台鑑賞とは異なる視点であり、人々の関心を呼んでいる。また大型の舞台装置を運搬したり、俳優の時間を調整したりする必要もないので、田舎でも魅力ある歌舞伎公演を楽しむことが可能になる(映画チケットは歌舞伎ほど高くないというメリットもある)。字幕や解説を入れるのも簡単なので、歌舞伎文化の海外普及にも計り知れない効果がある。また、デジタル映画にはフィルムが必要なく、操作が容易であるというのも重要なポイントだ。
松竹映画では、教育機関や企業など映画館以外の場所における鑑賞の予約もネットで受け付けており、歌舞伎映画の映画館以外での放映にも積極的だ。放映するデジタル放映機器がない場合は、松竹が機器貸し出しを行う。
現在すでに「野田版鼠小僧」、「坂東玉三郎――鷺娘」が上映されている。来年1月には、さらに「京鹿子娘二人道成寺」などが公開される。通常の歌舞伎映画の上映時間は1〜2時間で、チケットは1000〜1800円前後である。 |