アラーキーの東京人生
「天才アラーキー」と呼ばれる荒木経惟(あらき・のぶよし)は世界的にも有名な日本人カメラマンである。彼は1960年代から社会に対して挑戦し続け、常に時代の最先端を走ってきた。今までに350冊以上の写真集や著作を発表し、毎年国内外で個展を開催するなど、日本の写真界に大きな影響を与えてきた。
10月17日から12月24日まで、両国の江戸東京博物館で「東京人生」と題した展覧会が開催されている。これは、荒木の電通勤務時代から現在までの約四十年間の作品を集めたものである。
1940年に東京の下町に生まれ育った荒木は、「東京」の街、人々、時代を撮り続けてきた。「東京人生」は旧作400点と新作200点を展示しており、彼の「東京人生」の集大成といえる。また大型スクリーンには、今年7月に撮影した170点の作品を映し出す。今までに公開されたことのない1960年代から1970年代前半までの作品も多数出展されている。展覧会を通じて、現在進行形のアラーキーの姿も知ることができる。
豊富な内容で作品の魅力があますところなく紹介されているだけでなく、これらの作品を通して、時代と共に変遷する「東京」という都市の姿が浮き彫りになり、ここに住む人々の生と死、孤独と悲哀が、生き生きとした画面によって表現されている。
荒木は言う。「写真はただの日記。その日の記録にすぎないよ。でも永遠性があるかもしれない。その二つの気分を入れている。写真なんて作品じゃないよ。ささやかな享楽だね。一枚一枚というよりも、輪廻転生、流れを見てほしいね。」
荒木経惟の「東京人生」は、彼の「撮影家人生」なのである。 |