南仏の風を感じて ― Boncompain氏来日記念絵画展
うっとうしい梅雨空と夏を思わせる暑さが交差する日本の街に、爽やかな南フランスの風が吹いた。銀座のソニービルのすぐ近く、ギャラリー桜の木で今、フランスの画家ピエール・ボンコンパン氏の個展が開かれている。
油絵、パステル、デッサン、リトグラフの各種絵画に加え、セラミックに彩色した壷など約50点の作品が展示即売されている。フランス各地、オランダ、中国上海で個展を開き、世界的画家としての評価はすでに高い。
伸びやかでニュアンスのある曲線によるリズム感と構図の微妙なバランス感は、繊細な感性を尊重する画家の資質を映していると思う。初日のギャラリートークでのボンコンパン氏の印象は、優しい人柄の中に、芸術家としての穏やかさとキラキラした好奇心が感じられて、絵の雰囲気そのままだった。心地よく上品。南仏の透明な陽光の中で爽やかな風に吹かれている、そんな気分にさせられる展覧会だった。何度も日本を訪れている親日家。今回は展覧会のかたわら軽井沢旅行を楽しみにしているとのこと。世界各地を訪問するたびに、また新たな境地を開いていくことだろう。
ねこの絵が印象的。「生命の木」と名づけられたテーブルクロスの装飾的な絵はとても独創的で、東洋的な香りがする。1977年のインド訪問の影響だろうか。
7月22日まで。銀座のギャラリー桜の木で。 (西岡珠実執筆) |