新宮晋 動く彫刻
風の彫刻家として有名な新宮晋氏が、オランダのネザーランド・ダンス・シアターTの「Toss of a Dice」という現代バレエの舞台彫刻を作って話題になっている。フランスのパリ・オペラ座では、5月12日から15日まで、東京では6月28/29日に新宿文化センターで公演された。舞台の上につるされた新宮氏のオブジェは、刀のような形の鋭利なスチールが組み合わさってキラキラと輝き、風の中の羽のように動く。
新宮晋氏は2000年から「ウィンドキャラバン」というプロジェクトで、世界中を廻ったことで有名になった。21点の風で動く彫刻をもって、世界の子供たちに見せよう、というものだった。このプロジェクトに、ネザーランド・ダンス・シアターの振付師イリ・キリアンや建築家のレンゾ・ピアノ、安藤忠雄、デザイナーの三宅一生が賛同し、協力を惜しまなかったというから、素晴らしい交友録に感嘆する。新宮氏のムーブメントオブジェは銀座のHERMESのレンゾ・ピアノ設計のガラスブロックのビルのファサードにも付いている。
芸術のインスピレーションは日々風のように変化し、世の中を揺らしながら広がってゆくようである。今、この世界に生きるものとして、文化のコラボレーションの波動をリアルタイムで体感したい。(西岡珠実執筆) |