人間観察放浪記
人は何もしないではいられない。暇になると落ち着かなくなり、何か面白いことを求めてうろうろするものだ。矢田等という「暇人」が、食事の後はすることもないので、毎日映画館に行ったり馬券を買ったりする他は、街に出てひたすら世間を眺め、眺め続けたあげく「面白いこと」を見つけ出し、「東京採集バカ――人間観察放浪記」という本にまとめたところ、たいへんな反響を呼んでしまった。自称「採集バカ」が集めた「笑える東京人」は、その観察のあまりの細かさに、読む者を驚かせる。例えば……
ホームでタバコを吸う時間――何とたった27秒で吸う男がいる。
電話ボックスでどのぐらい長電話できるか――19分33秒の長電話をしたおしゃべり男。
美容院の店員は自分も髪を染めるか――18.7%と意外に少ない。
大学生の眼鏡率:東京大学は男性42%、女性20%で、思ったとおりの第一位。
渋谷の繁華街に落ちている500円玉は何分で拾われるか――誰も拾わなかった。
子供を抱っこする人とおんぶする人はどちらが多いか――東京では8:2の比率。
国会図書館で居眠りする人――熟睡者は21人、椅子から落ちても起きない人がいた。
「東京採集バカ――人間観察放浪記」矢田等著、出版社:トラベルジャーナル、189ページ、1260円(内税) |