2006年10月13日第39号(通巻第55号) 毎週金曜日発行 ブログ 中文簡体 中文繁体
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ファッション・イベント

芸術の秋に三つの美術展

今年の秋、全国各地の美術館では話題の美術展が次々に開催されている。世界の有名なアーティストたちの傑作を観賞して、芸術の秋を大いに楽しんではいかがでしょうか。

神戸市立美術館の「オルセー美術館展――19世紀 芸術家たちの楽園」では、パリのオルセー美術館から140点の作品が出品される。その中の多くは、日本人のファンが多い印象派の絵画である。画集などでよく見られる名作以外に、近年収蔵されたばかりのものも多く含まれ、絵画、彫刻、素描、写真、工芸品、建築デザインなど、多彩な分野にわたっている。このようにたくさんの世界的名作が日本でまとめて見られるのは、たいへん貴重な機会である。

10月19日には東京都美術館で「大エルミタージュ美術館展」が始まり、ピカソ、モネなどの名作を鑑賞することができる。テーマは「都市と自然」。80枚あまりの油彩作品は、時代的には400年にわたり、地域的にはヨーロッパ各国にまたがる。これらの作品は、私たちに都会の喧騒を忘れさせ、リラックスさせてくれるに違いない。

世界的に有名な美術館の所蔵品をまとめて見られるこれらの展覧会の他に、一人の画家の作品を扱った展覧会にもお勧めのものがある。それは、東京の上野の森美術館で行われている、生誕100周年記念「ダリ回顧展」である。20世紀の美術界最大の奇才ダリは独自の表現方法を用いて、幻想と非現実が溶け合った、混乱するような奇妙な世界を構築した。約60枚の作品と貴重な初期の下絵、写真などが一挙に展示されており、1989年に84歳でこの世を去った巨匠ダリの足跡をたどる展覧会となっている。(本文は雑誌「日経トレンディ」の関連記事をリライトした)

(C)2006 Musee d'Orsay/Nihon Keizai Shimbun, Inc.
(C)The State Hermitage Museum, St. Petersburg, 2006
(C)2006 The Ueno Royal Museum

オルセー美術館展公式サイト http://www.orsay3.com/
 大エルミタージュ美術館展公式サイト http://www.ntv.co.jp/hermitage/main.html
 ダリ回顧展公式サイト http://www.dali2006.jp/
 
家電製品・IT情報

デジタルマガジンの台頭

中国ではデジタルマガジンが隆盛を極めているが、日本の出版界もデジタルマガジンのすばらしさに気づき始めたようだ。出版科学研究所の調査によれば、去年の日本の雑誌市場の販売額は前年より1.8%減少し、8年連続の減少となった。販売部数も3.3%減り、年々低下の一途である。この苦境の打開策としてデジタルマガジンが実力を発揮し始め、表舞台へとのし上がってきたのである。

2006年内に、小学館を初めとする出版社10社が一斉にデジタルマガジンの発行を開始する。小学館の三つの漫画雑誌は、現在印刷版と電子版の販売が並行して行われている。順調だった場合、小学館の発行するすべての雑誌がネットワーク化されるとのことだ。来年の春には、さらに新しいデジタルマガジンも創刊される。

主婦の友社のファッション雑誌「ef」は22年の歴史を持ち、台湾や中国でも人気があるが、発行部数は6〜7万部で低迷している。そのため、今年の8月号から「デジタルef」に転換したところ、3ヶ月も経たないうちに約100万ページの閲覧量を記録した。現在は無料だが、来年からは有料になるとのことである。

dima.jpが提供するデジタルマガジンには、綜合雑誌「Manyo」、男性ファッション雑誌「DUCA」、元気オヤジのための雑誌「ginger」、働く女性の健康雑誌「Aura」、リゾートを楽しむための雑誌「Travel Generation HAWAII」などがあり、ページをめくっているような感覚のFlip Bookの形式で、今までにないタイプの読書の快感を味わうことができる。

また産経新聞社の「産経net view」は、Flashによってパソコンのスクリーン上で新聞を広げるような感覚を体験できる。「拡大」の機能を利用して細かい部分を確認することもできるし、写真もここでは三枚の中から選んで見ることができる。

スタートは遅れたが、日本のデジタルマガジンの発展は、見過ごせない勢いを持っている。
無料で読めるデジタルマガジン http://dima.jp/
 
車・ドライブ・F1

スーパーカー「おろち」登場

富山県富山市の自動車製造会社、光岡自動車では、「かっこよさを徹底的に追求し、日本最先端のスーパースポーツカーという新しい分野を開拓する」という目標を持ち、流行重視で独特のデザインを持つ新車、「大蛇(おろち)」の予約販売を10月3日から開始した。

「おろち」の発表会は六本木ヒルズで行われた。発表会が始まると、あでやかな日本舞踊「大蛇誕生の舞」が披露され、舞台には日本的な風情が満ち溢れた。

「おろち」は2001年の東京モーターショーで初めて姿を現したとき、すでにかなりの反響があった。この車は、光岡会長の提案で、「誰でも普通に運転できる和製スーパーカーを目指し、おもしろくない優等生のような自動車モデルは捨てて、あえて悪、恐怖、不良を連想するデザイン」にしたという。日本神話からイメージを取り、他のメーカーがまねできない「恐怖の中に潜在する妖艶の美」を表現している。

車体両側の細長いライト、流線型の側面ライン、全体のデザインは大蛇の顔を思わせる。光岡章夫社長は、「おろち」が、日本で最近衰えつつある「自動車に対する憧れ」を回復する起爆剤になることを期待している。

シャーシは光岡自動車自身が製造し、トヨタのSUV(スポーツ・ユーティリティ・ビークル)用エンジンを搭載、ブレーキはHONDAの製品だ。車の動力性能は、渋滞の多い日本の道路事情を十分考慮して設計されている。

車両の本体価格は1050万円、車体の色は約300色で、ユーザの希望で色を調合してくれる。完全な注文生産で400台生産の予定で、すべてが職人の手作りなので400台すべてを納品するのに4年間かかるという。
(C)2006 Mitsuoka Motor Co., Ltd.
光岡自動車公式サイト http://www.mitsuoka-motor.com/
 
イベント掲示板
10月13日(金) 「富士通レディース2006」 千葉
15日までの国内女子ゴルフツアー。宮里藍・横峰さくら出場決定。
10月14日(土)「ミズノショップが原宿にオープン」 原宿
ミズノが「ミズノショップ原宿」をオープン。よりファッショナブルに。
10月15日(日)「ばらばらになった身体」国立近代美術館
頭・胸・手・足などユニークな切り口で人間像を表現する絵の展覧会。
10月16日(月)「青山芸術祭2006・デザインアワード
青山の街を舞台とする街灯フラッグのアートイベント。カップルにも。
10月17日(火)「SPHERE LEAGUE」 有明コロシアム
アイドル・女優・お笑い芸人などが競い合う女子フットボール公式戦。
10月18日(水)「あじさいCDリリースイベント」 渋谷
木梨憲武を含むユニット「あじさい」が『二人だけの世界』をリリース。
10月19日(木) 「東京デザインマーケット」 ビッグサイト
デザイナーが自らの提案を中小企業に提案、そのデザインを商品化したい中小企業を見いだす。
日本のナンバーワ
国内の最高気温
1933年7月25日、山形県山形市で記録された40.8℃です。非公式の記録では徳島県鳴門市の42.5℃です。ちなみに国内の最低気温は1931年1月27日、北海道中川郡美深町の−41.5℃です。

ノーヒットノーラン最年長記録
2006年9月16日、中日ドラゴンズの山本昌投手が阪神18回戦で無安打無得点試合(ノーヒットノーラン)を達成した。プロ野球史上84回、73三人目。41歳1ヶ月での達成は95年のオリックス佐藤の40歳11ヶ月を抜く最年長記録となった。

最も多い同姓同名
日本一多い同姓同名は、鈴木実である。一番多い苗字は佐藤姓なのだが、統計方法により、二位の鈴木と入れ替わることがある。ちなみに、選挙において同姓同名の立候補が出た場合には、氏名のあとに居住地の町名を記載することが多いようです。

本メルマガの発行人である中嶌重富の著作、「56歳での起業。」が只今絶賛発売中。詳細はこちらへ。

●国際交流基金・日中交流センターの公式サイト、「月刊心連心マガジン」の創刊号が新たに公開されました。

→家紋について詳しく本で読んでみたいと思いました。特集を企画してくださることを強く希望します。日本は古いものを我々より大切に保存しているところがあり、興味深く、また羨ましいです。我が家にも家紋があったらどんなにかっこいいでしょう!「藤」の家紋の紹介を読んで、私の好きな藤木直人の家紋と似ているけれどちょっと違うので、不思議に思いました。疑問を解いていただけると嬉しいのですが……。(「伝統的な日本の家紋」を読んで)【中国 wanlilyyukilove

→今年の中秋節はひどい台風が来たために、故郷を離れた我々が「挙頭望名月、低頭思故郷(こうべを挙げて名月を望み、こうべをたれて故郷を思う)」ことができませんでした。メルマガ中国語版の可愛いAIBOの中秋節の挨拶をありがとうございました!謹んで、「但願人長久、千里共嬋娟(ただ願う、人長久にして、千里嬋娟を共にせんことを――離れていても、健康で長生きして、共に同じ月を眺めることを願って)」、みなさんと共に努力していきたいと思います。【東京 唐人

→最新イタリアブランドが日本へ上陸しました。スタイリッシュカジュアルをコンセプトに新しいレディスインナーコレクションを展開しています。(「東京ファッション事情」を読んで)【イタリア epifania frm milano

立山(富山県)
函館
太陽の塔
ブセナリゾート海中展望塔
配信サイト
ALAYA
先端技術・出版・雑学

ネーミングライツ(命名権)

10月1日、NHKの近くにある渋谷公会堂が改装を終えて業務を再開した。おもしろいのは、正面入り口の上に巨大な黄色いレモンが加わっていることで、名前も「渋谷C.C.レモンホール」に変わっている。C.C.レモンはサントリーの炭酸飲料である。広告代理店の電通の仲介で、サントリーが渋谷公会堂のネーミングライツを取得したのである。

ネーミングライツのビジネスは、アメリカで生まれた。日本では2003年に導入が始まり、最初の成果は「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」になったことであった。その後、「横浜国際総合競技場」が「日産スタジアム」になり、「福岡ドーム」が「福岡Yahoo!Japanドーム」になるなど、一時期は日本中でネーミングライツビジネスが流行した。

2002年6月30日にFIFAワールドカップのブラジル対ドイツの決勝戦が行われた「横浜国際総合競技場」が「日産スタジアム」になったとき、契約金額は5年間で23億5千万円で、年平均4億7千万円という高額であった。これは、日産自動車にとって割が合うのだろうか?確かに、去年と今年のFIFAクラブワールドカップが日本で行われたことを考えると、メイン会場である「日産スタジアム」の名前は全世界に響きわたったかもしれない。

「味の素スタジアム」の契約金額は5年で12億円(年平均2億4千万円)で、ネーミングライツ取得前一年のこのスタジアムの売上額は約8億8千万円であったから、5年間に収入の約3割を固定的に獲得できるならば、スタジアムとしてもかなりの「副収入」になる。

このように自治体が出資して建てた建築物に対して、特定の企業が宣伝を行うビジネス形体は、しだいに社会に認可されつつある。今後ネーミングライツが日本でさらに普及するかどうかについては、単に企業の宣伝の道具としてだけでなく、スポーツ文化を支える一つの手段となるように努力していく必要がある。
ネーミングライツの費用対効果 http://www.auncon.co.jp/shida/2005/10/blog-post_27.html
 
芸能・ドラマ・音楽

馳星周(はせ・せいしゅう)と周星馳(チャウ・シンチー)

映画「少林サッカー」はワールドカップのおかげで日本に大流行し、周星馳の名前も「少林サッカー」のおかげで日本に広まった。そして馳星周は、周星馳のおかげでさらにその名が日本に広まった。

作家、馳星周と言えば、まず「不夜城」を思い出す。彼は1996年にこの小説で文壇にデビューし、小説は様々な賞を獲得し、映画にもなってアジア各国で上映された。馳星周は北海道出身、横浜市立大学を卒業し、新宿の華人マフィア社会を小説のテーマにし、ペンネームは最も尊敬する監督・俳優である周星馳の名を逆にして付けた。

周星馳の作品は笑いで人気を博しているが、馳星周は暴力と暗黒世界で人をひきつける。周星馳は自分が馳星周のような作家にはなれないことを知っている。彼の頭の中には、イメージだけで文章はないからだ。馳星周は周星馳の魅力に心服している。観衆を大笑いさせるのはとても難しいことだと知っているからだ。

おもしろいことに、馳星周の最大の楽しみはサッカーを見ることと香港の友達に会いに行くことだそうだ。彼の作品を映画にしたときに、彼が映画の中である役を演じることになるとは誰も予想しなかった。一方、周星馳は「少林サッカー」を撮るときに、ちょうど馳星周が香港にいることを知って、わざわざ電話をかけて馳星周にある役を演じさせた。残念ながら、ただのサッカーの観衆の役だったけれど。

周星馳が「少林サッカー」の宣伝で日本にやって来たとき、馳星周は彼に会いに行き、作家と監督は興味深いツーショットを撮った。近年、馳星周は周星馳に比べるとやや低調なのが残念だ。彼がまたあっと驚くような新作を書いて発表することを期待している。
馳星周公式サイト http://www.hase-seisyu.com/
 
編集後記

日中交流センターの「心連心」サイトに、日本に留学している中国の高校生たちが日記の形で異国での経験を記している。数日前、初めて自動販売機を使おうとしておろおろしたことについて書かれているのを読んで、18年前の自分もまったく同じ体験をしたことを思い出した。そう、街のあちこちにある自動販売機をみくびってはいけない。多くの外国人の日本理解はここから始まり、少しずつこの国について知っていくのだから。

日本は世界でも自動販売機の台数が最も多く、種類も豊富な国である。店舗販売だけでは満足しない競争心旺盛な企業は、二十四時間いつでも商品を提供するために、道端や公共施設にたくさんの自動販売機を設置する。コーラ、オレンジジュース、炭酸飲料などの清涼飲料はもちろん、コーヒー、緑茶、湯などの温かい飲み物、タバコ、酒なども自動販売機で買うことができる。さらに台数は少ないがお菓子、カップめん、米、エイズ予防のコンドーム、子供のための玩具、成人用の雑誌など、様々な種類の販売機がある。

外国からの観光客はそれを便利だと思う反面、未成年者には禁じられている酒やタバコなどが、街のあちこちに置かれた販売機で堂々と売られているのには、やれやれと首を振ることになる。だが酒・タバコの問題を気にしなければ、自動販売機のおかげで急に必要になったものを買えたという人は少なくないはずだ。

炎暑の季節に、人家もまばらな農村の道路で道に迷ったとき、のどを潤してくれるのは、目の前に忽然と現れる自動販売機だ。灯りのない真っ暗な道路では、自動販売機のかすかな光が勇気と力を与えてくれる。緊急に提出しなければならない証明書類に写真が必要なとき、駅にあるスピード写真撮影機(これも自動販売機の一種だろう)があれば写真はすぐに手に入る。

それがなくても生きていけないというほどのことはないが、あれば非常に便利であるというところが自動販売機の妙味である。その功罪について、中国の高校生たちもだんだんに理解していくことだろう。